代表のまじまがユーチューバーになりましたので、お知らせします。

「社労士まじまの 労務管理お悩み解決ちゃんねる」

https://www.youtube.com/channel/UC2wludvbPOIgxb7IAyJAOkw

 

当ホームページ内にリンクを貼りましたので、そちらからもご覧いただけます。

https://www.tokyo-consul.jp/article/16278516.html (左上にも同じリンクがあります)

有益な情報をアップしていきますので、どうぞよろしくお願いします。

今日は、このブログの趣旨と少々ずれたことを書くことをお許しください。内容としては、事実関係のご報告とほんの少しの私の愚痴です。

 

弊事務所は社労士事務所ですから、当然労働保険や社会保険の手続業務も行います。例を上げると次のような手続きです。

 

〇雇用保険

・資格取得届

・資格喪失届

・離職票

〇健康・厚生年金保険

・資格取得届

・被扶養者届

・資格喪失届

 

この4月から大企業については電子申請が義務化されましたが、弊事務所はもう何年も前から電子にて申請を行っています。

 

今日は雇用保険の話です。雇用保険の手続きを電子で行うと、おのおの管轄のハローワークで審査を行うのですが、都道府県によっては「電子申請事務センター」という組織で一括管理をしています。私がよく手続きを行う東京や埼玉はそうですね。

 

手続きをすると先方で審査をして、問題がなければ公文書が発行されます。たとえば、離職票の発行依頼の手続きを行うと、公文書として離職票が発行されるといった具合。依頼が電子ですから、公文書も電子データという形での発行となります。

 

先方での処理は、手続きによって優先順位があるようです。優先度の高い順に並べると、離職票⇒資格喪失届⇒資格取得届(確認したわけではないですが、間違いないかと)。

 

離職票は、失業給付を受給するために必要な書類ですから、最優先で発行してくれます。依頼してから2〜3日ですね。

 

資格喪失届や資格取得届は比較的遅いですが、それには理由があります。たとえば資格取得届、いくら遅れたとしても、結局資格取得日=入社日で処理されるので、会社・本人共に一切に不利益はないためです。

通常は、3日〜1週間程度で公文書が発行されます。

 

実は、現状、東京では、資格取得届の処理がものすごく遅いです。2箇月前に依頼した分の公文書が未だに発行されません。

 

さすがにしびれを切らして電子申請事務センターに聞いてみたところ(つながるまでに何十回も電話をかけました)、遅れているのは次のような理由とのことでした。

① 4月、5月は例年忙しい。

⇒その点はこちらも承知しています。

② 今はコロナのせいで離職者が多く離職票を優先発行していて、資格取得届まで手が回らない。

⇒なるほどねぇ、結局はコロナのせいなのね、という感じです。まあ、それなら仕方ないと言えば仕方ないです。

 

で、私が言いたいことは、「公文書の発行が遅いのは行政のせいであって、弊事務所のせいではない」ということです!

 

弊事務所は、きちんと手続きを取っています。時間がかかっているのは、あくまでも行政側の事情なのです。その点、ご理解いただけると幸いであります。

 

※弊事務所のお客さまはみなさんお優しくてお叱りをいただいたことはこれまで一度もないのですが、そういう問題ではなく、私が気になって仕方がないのです。お客さまに申し訳なくて・・・。

「営業職、完全歩合制」との求人をよく見かけます。いわゆるフルコミッション制ですね。

 

これが合法かどうかについて考えてみましょう。

 

いや、社会で広く行われているからといって、イコール合法とは限りませんよ(他の例で言うと、「課長になったら残業代なし」というルール。採用している企業は多いですが、あれも法律違反です。残業代を支払わなくて良いのは労働基準法の管理監督者です。管理監督者とは「経営者と一体とみなされる労働者」であって、一般の課長は含みません)。

 

結論から言うと、「成果が上がらなければ給料ゼロ」という形のフルコミッションは、違法です。労働基準法第27条に次の規定があります。

 

労働基準法第27条

出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない。

この条文が言いたいことは次の通りです。

「上げた成果に対して報酬を支払うのはもちろん良いけれども、それとは別に労働時間に応じた賃金も支払いなさい」

 

たとえば、1日8時間働いた場合、成果に対する報酬とは別に、8時間分の賃金を支払う必要があるということです。これはとりもなおさず、「フルコミッション制」が違法であることを示していますね。

 

根底にあるのが労働者保護であることはお分かりいただけると思います。一所懸命やったのに仮に成果がゼロであった場合に賃金もゼロでは、生活ができないよね、ということです。

 

では、労働時間に応じた賃金をいくら支払えば良いかですが、そこについては明確な基準がありません(条文も「一定額」としているのみです)。

 

一般的には、生活費である休業手当の基準である「6割」が妥当ではないか、とされています(こちらは「一定(率)」ですが、あくまでも考え方なので、条文と矛盾はしません)。

 

以上が、フルコミッション制についての法の考え方ですが、これはあくまでも従業員が「労働者」である場合(つまり、「雇用契約」)の話であって、「請負制」の場合はまったく話が異なってきます

 

請負制は「企業と個人事業主との契約」ということですから、そもそも労働基準法は適用されませんので、フルコミッション制であっても認容されることとなります。

 

ただし、請負制の場合は、労働者ではないのですから、会社は指揮命令や労働時間の拘束などを行うことができず、そのような実態が見られる場合は、契約のいかんに関わらず労働者とみなされることになります。



実態は雇用契約であるにも関わらず請負契約を結び、労働時間に応じた賃金の支払いを免れようとする悪質な企業もあるので、注意が必要です。

今日は、休業手当の解説をしましょう。

 

労働基準法第26条に規定があります。

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。

「使用者の責に帰すべき事由」とは、「会社の都合」ということです。

 

労働者は、もともとその日は働く予定で、予定通りであればたとえば丸1日働いて1日分の賃金を得ていたはずです。

 

法律は、「労働者は貧乏」との前提ですから(労働者保護法ですから)、「その1日分の賃金でその日の生活費を賄う」と考えるわけです。

 

それが、会社の都合で休ませられて結果賃金がゼロとなったら、労働者は生活に困ってしまうではありませんか。

 

そこで、「労働者が生活できるだけのお金を払いなさいね」ということで、それが休業手当というわけです。

 

いや、実はこれ、民法上は10割請求できます。だって、完全に会社の責任なのですから、当然ですね。

 

ただ、根拠が民法だと実際にはなかなか10割は取れないので、そこで、もろもろの最低基準を規定している労働基準法において、「まあ、最低限生活はできるレベル」ということで6割を使用者に対する罰則付きで規定した、というわけです。

 

休業手当の額ですが、「その日一日働いていたなら得ていたはずの賃金額の6割」ではなく、「平均賃金の6割」なので注意です。

 

平均賃金は前にみっちり解説したので、そちらを読んでくださいね(こちら)。平均賃金は暦月で計算するので、「その日一日働いていたなら得ていたはずの賃金額(つまり、労働日の賃金額)」よりは少なくなります(最低保障の場合は少し違うこともあります)。

 

休業手当について、誤解の多い2点をご紹介します。

① 請求不要

 上の条文のどこにも「請求があれば」とは書いてないですね。労働者から請求があれば当然ですが、請求がなくても使用者は支払わなければなりません。

② アルバイトやパートでも対象

 正社員に限るわけでもなく、アルバイトやパートでも差別なく対象になります。

 

ただ、たとえば、アルバイトで、本来は休業手当の要件に該当しているのに、会社がしらばっくれ又は会社自体も知識がないことにより支払われず、本人も知識がないために請求をせず、結局支払われないままになってしまうことが実際は多いと思われます。とても残念なことです。

 

丸1日働く予定だった労働者がその日丸々休まされた場合については、単純に平均賃金の6割ということで良いと思いますが、では、もともと丸1日働く予定ではなかった場合や、丸1日働く予定だったけどたとえば半日だけ休まされたような場合、について見ておきましょう。

 

〇 もともと丸1日働く予定ではなかった日に丸一日休まされた場合

たとえば、いわゆる半ドンの土曜日をイメージしてください。もともと午前中の3時間のみ働く予定であった労働者が、会社から「今日来なくていいよ」と言われたパターン。会社都合で休んだのは3時間のみですが、その労働者は結局その日丸一日働いていないという状況ですね。その場合の休業手当は、次のどちらでしょうか。

① 3時間分の6割

② 1日分(平均賃金)の6割

実は、正解は②なのです。会社側は「え〜!」と思われるかも知れませんが、「休業手当は最低限の生活保障」ということを思い出してください。「その日1日生活をするために必要なお金は3時間分の6割ではなく、1日分の6割だよね」という考え方なのです。まあ、そう言われれば仕方なく納得、という感じですね。

 

では、次の場合はどうでしょうか。

 

〇 1日働く予定だったが、一部の時間だけ休まされた場合

午前中4時間、午後4時間で1日8時間働く予定であった労働者が、午後のみ会社都合で休まされた場合の休業手当は?

この場合は、1割で良いのです。なぜなら、午前中は働いた4時間分の賃金をきっちりもらえるから。賃金(5割)+休業手当(1割)=6割で、最低限生活できるレベルである6割が確保できているので、それでOK!ということなのです。

 

今日は結構細かい話でしたが、会社の担当者はきちんと知っていなければいけない内容ですし、労働者の方も上に書いた通り、ある程度知識を持っていてちゃんと会社に請求しないと、自分が損をすることになりますよ。

今日は、賃金支払5原則の例外についてお話します。

 

簡単に復習すると「賃金支払5原則」とは次の通りです。

〇通貨払原則

〇直接払原則

〇全額払原則

〇毎月1回以上払原則

〇一定期日払原則

 

では、例外のお話を。

 

〇 通貨払原則

通貨払原則とは、「賃金は現金で支払え!」ということですから、例外は当然「現金以外の手段で支払うもの」を指します。具体的には次の通り。

 

・労働協約で定めた場合

労働協約とは、会社と労働組合との協定書のことです。労働協約に「現物で払ってもいい」と記せば、現物支給が可能になります。該当する代表的なものは通勤定期券。総務の担当者が駅に赴いて社員全員分の定期券を購入し、それをひとりずつに渡す方法です。

「労働協約があればできる」は裏返して言えば「労働協約がなければできない」ということですから、労働組合のない会社では、通勤定期券の現物支給をやってはいけないことになります。

 

・賃金や退職金の口座振り込み

賃金や退職金について本人の同意を得れば、金融機関への振り込みにより支払うことができます。現実的にはこちらの方が原則ですよね。ちなみに、口座は本人名義に限られます。愛人名義はダメですから、念のため。

 

・退職金の小切手払

可能です。

 

〇 直接払原則

直接払原則とは、「賃金は、直接手渡ししなさい」との原則です。例外は次の通り。

 

・口座振り込み

口座振り込みによる支払は、通貨払原則、直接払原則両者の例外となります。

 

・使者に支払うこと

「使者」とは、「その者に渡したならば確実に本人に渡るだろうと推測される者」ということで、具体的には配偶者や子を指します。本人が病気で賃金受け取りに来れない場合などに、家族が代わりに受け取りに来ることなどを想定しています。

支払って良いのは「使者」に限られ、「代理人」はダメです。民法上の法定代理人でもダメですから注意ですね。

 

〇 全額払原則

「賃金から一切控除をしてはいけない」が全額払原則ですから、例外がいろいろあるのは想像がつくと思います。

 

・法律で「控除してもよい」とされている場合

労働保険や社会保険の保険料、所得税などが該当します。

 

・労使協定を結んだ場合

労使協定とは、会社と従業員の代表者との協定書です。労働協約とは違い、労働組合がない場合でも結ぶことができます。具体的には、社宅の家賃や労働組合費などが該当します。

 

〇 毎月1回以上払原則

賃金は、毎月1回以上支払わなければなりません。年俸制の場合でも同じで、たとえば年俸を12で割った額を毎月支払うとか、14で割って2月分は賞与として残りを毎月支払う等しなければなりません。

 

〇 一定期日払原則

「今月は1日、来月は月末に払うよ!」はダメということで、毎月決まった期日に支払わなければなりません(25日払とか月末払とか)。「毎月第4金曜日」といったような定めは1週間単位で前後に揺れ動くので、認められません。

賃金の話が続いているので、今日は、「賃金支払5原則」のお話をしましょう。

 

「賃金支払5原則」、社労士の世界ではよく耳にする単語ですが、一般の方にはなじみが薄いのではないでしょうか。これは、「会社(使用者)が従業員(労働者)に賃金を支払うときに守らなければならない5つのルール」のことです。

 

【賃金支払5原則】

賃金は、次の5つのルールを守った上で支払わなければなりません。

 

〇通貨払原則

〇直接払原則

〇全額払原則

〇毎月1回以上払原則

〇一定期日払原則

 

具体的には、次の通りです。

〇通貨払原則

 賃金は、現金で支払わなければなりません。

〇直接払原則

 賃金は、従業員本人に直接手渡ししなければなりません。

〇全額払原則

 賃金からは、何も控除してはなりません。

〇毎月1回以上払原則

 賃金は、毎月1回以上支払わなければなりません。

〇一定期日払原則

 賃金は、一定の期日を定めて支払わなければなりません(「今月のいつか払うよ!」はダメということです。あたりまえですよね)。

 

以上が原則ですが、「ああ、これは例外がたくさんありそうだな」とお気づきですね。お察しの通りです。例外はいろいろあり今日書くと長くなるので、次回に譲ります。

今日は、休業手当、有給休暇中の賃金、解雇予告手当、休業補償などの額の算定に用いる平均賃金について。平均賃金ってなに?

 

わかりやすく言えば、「給料の1日当たりの額」です。

 

法律上の定義は、労働基準法第12条にあります。

この法律で平均賃金とは、これを算定すべき事由の発生した日以前3箇月間にその労働者に対し支払われた賃金の総額を、その期間の総日数で除した金額をいう。

これによると、平均賃金の計算方法は、次の通りとなります。

算定事由発生日以前3箇月間の賃金総額÷その期間の総日数

 

【賃金総額について】

賃金総額は、「総額」というぐらいですから、手当も全部含めます(住宅手当、通勤手当などもです。これらを除いて良いのは割増賃金の単価ですので、お間違いなく。)。ただし、次のものは除きます。

〇 期間・賃金共に除外

・業務災害による病気やケガの治療のための休業期間中

・産前産後休業期間

・使用者の責に帰すべき休業期間

・育児・介護休業期間

・試用期間

〇 賃金総額のみ除外

・臨時の賃金(私傷病手当や退職手当など)

・賞与(1年に3回までの分のみ)

・法令・労働協約の定め以外に基づいて支払われる現物給与

 

【賃金締切日がある場合】

算定事由発生日の直前の締日からさかのぼる3箇月間で計算します。たとえば休業手当であれば、会社都合による休業の日の直前の締日以前3箇月ということになります。その理由は単純で、計算がしやすいからです。

 

★平均賃金とは、あくまでも「その人の賃金の平均額」ということであり、「その人が丸一日働いた場合の賃金額」ではないことに留意してください。そこを理解していないと、「えっ、私の平均賃金、こんなに少ないの!」ということになります。

 

(例)

・月給:200,000円

・暦日数:1月:31日、2月:29日、3月:31日 計91日

 

この方が「丸一日働いた場合の賃金額」は、月の労働日が20日とすれば、200,000円÷20=10,000円となりますが、平均賃金は暦日数で計算しますので、次の通りとなります。

 

〇平均賃金=200,000円×3÷91日=6,593.40円

 

ね、思ったより少なくてビックリしますでしょ。

 

以上が原則論ですが、日給、時間給、出来高給などの人については、最低保障があるので要注意です。原則の額と比較して額の多い方を採用です。

 

・最低保障額

算定事由発生日以前3箇月間の賃金総額÷その期間の労働日数×0.6

 

(例)

・時給1,200円

・暦日数:1月:31日、2月:29日、3月:31日 計91日

・労働日数:1月:10日、2月:10日、3月:3日 計23日

・賃金:1月:96,000円、2月:96,000円、3月:28,800円 計220,800円

 

〇原則=220,800円÷91日≒2,426.37円

〇最低保障=220,800円÷23日×0.6=5,760円(こちらを採用)

 

この方の場合だと、最低保障の方がだいぶ額が多いことがわかりますね。労働日数が少ない方ほどこのようになります。

昨日、賃金ってなに?という話をしました(こちら)。

 

簡単にまとめると、次の通りです。

 

「『賃金』とは、使用者の指揮命令を受けて労働者が行った労働の対償として使用者から労働者に支払われるものである。」

 

キーワードは、「労働の対償」と「使用者から受ける(もらう)もの」ですね。

 

今日は、さらに話を進めます。

 

賃金に該当するには、「労働の対償」と「使用者から受けるもの」との要件を満たす必要があるとすれば、次のものは賃金ではないことになります。

 

① 任意的、恩恵的なもの

② 福利厚生的なもの

③ 実費弁償的なもの

 

①や②については、結婚祝金、死亡弔慰金、災害見舞金などが該当します。これらは、「使用者から受けるもの」ではあるけど、「労働の対償」ではありませんものね。

 

退職金も、同様の考え方です。支払は使用者の任意とされているので、支払いたくなければ支払う必要がありません。「うちの会社は退職金なしよ」でまったく問題ないのです。

 

ただし、①や②については(退職金を含む)、就業規則や労働契約などに規定した場合は賃金とみなされることは、特に重要です(労働基準法のみ。労働保険ではその場合でも賃金には含みません。これはだいぶ細かい話なので、今は気にしなくて良いです。)。

 

たとえば、就業規則に、「結婚祝金を払うよ」と書くとか、退職金規程を作ったリした場合は、賃金に該当し、使用者に支払義務が生ずることになります。

 

③は、出張交通費や接待交際費などが該当します。仕事のために必要な費用ですが、全額会社が負担しますから、労働者の利益となる賃金には該当しません。

 

賃金の要件の一つである「使用者から受けるもの」に関しては、一つ例を上げて説明しましょう。

 

Q:旅館の中居さんがお客さんからいただくチップは賃金に該当するか否か?

A:該当する場合もしない場合もある。

〇該当しない場合

 中居さんがお客さんからいただいて、(おかみさんに報告はするにしても)そのまま懐に入れる場合。

 なぜなら、チップはある意味「労働の対償」ではありますが、「使用者(おかみさん)から受けるもの」ではないからです。

〇該当する場合

 チップではあっても、「サービス料」として一定率を定めて客に請求し、その日出勤した中居さんに均等分配する場合。

 この場合については、「労働の対償」であり、かつ「使用者から受けるもの」にも該当するので、賃金となります。

 

法律って、いろいろと面白いでしょ

 

なお、通勤手当(交通費)については、実費弁償ですけど、例外的に「賃金に該当する」と明確に定められているので、注意です(労働・社会保険でも同様)。

前回、前々回では、「労働者ってなに?」「使用者ってなに?」ということで、労働者、使用者という用語の定義をお話しました。

 

実は、そこと密接に絡むのですが、今日は、「賃金ってなに?」というテーマで、賃金という用語の定義の解説をします。

 

「賃金」用語の定義については、労働基準法第11条に記載があります。

 

労働基準法第11条

 この法律で賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称の如何を問わず、労働の対償として使用者が労働者に支払うすべてのものをいう。

この条文からわかる「賃金」の定義は、次の通りです。

 

実際は、給料、給与、手当、賞与、バイト代等々・・・・、と称するが、そういった「呼び名」の問題じゃなくて、「労働の対償として使用者が労働者に支払うもの」のことである。

 

呼び名の問題ではない、その点は良いでしょう。ここで分析が必要なのは、「労働の対償として使用者が労働者に支払うもの」という部分ですね。では、順を追ってお話します。

 

前回、前々回で、「使用者」と「労働者」の定義の話をしました。まだお読みでない方は読んでいただきたいですが、ここではひとまず簡易的に、使用者=会社、労働者=従業員ということで話を進めていきます。

 

使用者と労働者は、労働契約を結んでいます。労働契約の内容は、次の通りです。

 

「会社は従業員に『これこれこういう仕事をしてね』と指揮命令をするよ、指揮命令を受けた従業員は、ちゃんと働くんだよ」

 

この使用者と労働者の関係のことを、法律では「指揮命令関係」といいます。図にすると次の通りです。

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そして、この関係が成り立つときに、一方の当事者が使用者、もう一方の当事者が労働者、そして、使用者が労働者に支払うものが賃金です。

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これで、「労働の対償として使用者が労働者に支払うもの」の意味をご理解いただけましたね。

 

ということは、これを裏がして見ると、次のようなことが言えます。

 

「労働の対償でないものや会社以外から払われるものは賃金ではない。」

 

少し長くなったので、その点はまた明日解説します。

昨日「労働者」についてお話したので、今日は、同じく労働基準法上の用語である「使用者」の解説をします。

 

一般的に、「使用者」=「会社」と考えられていますが、事はそう簡単ではないのです。

 

使用者の定義は、労働基準法第10条にあります。

この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。

まず知っていただきたいことは、「使用者」とは、「労働基準法が定めたさまざまな責任を負う存在である」ということです。

 

労働基準法は労働者保護のために、使用者に対して多くの義務を定めています。使用者は労働基準法の諸規定を遵守しなければならず、違反すると懲役や罰金などの罰則が課されることになります。

 

それほどに重い責任を負っているのが使用者なので、何らかの形で会社などに関わっている人は、ご自分が使用者に該当しないかどうかを、きちんと知っておく必要がある理屈です。

 

労働基準法第10条によれば、「使用者」には3つの種類があることがわかります。

①事業主

②事業の経営担当者

③事業主のために行為をするすべての者

 

おのおの解説しましょう。

 

①事業主

その事業の経営主体のことです。会社の場合は会社そのもの、個人事業の場合は事業主さん個人です。

会社の場合、社長ではないのがポイントです。会社のことを「法人」ということからわかるように、会社を人間とみなして会社そのものに責任を負わせる考え方です。

 

②事業の経営担当者

取締役や理事などです。

 

③事業主のために行為をするすべての者

なんだか難しい言い回しですが、要するに、「会社の命を受けて労働者を管理する人」ということです。法律では「人事部長や労務課長が該当する」とされていますが、実務的には営業部などの部課長も該当すると考えた方が良いでしょう。

 

たとえば、課長のあなた。あなたは「自分は会社に使われている労働者だ」とお考えだと思います。いや、それは正解です。あなたはあなたのご認識の通り紛れもなく労働者であり、労働基準法によって徹底的に保護されます。

 

でも、あなたが一人課長ではなく部下がいるとすれば、あなたは使用者にも該当するのです。同じ人が、労働者と使用者の両方に該当するという不思議な現象が、職場ではフツーに起きます。

 

あなたも使用者である以上は、労働基準法を遵守しなければなりませんし、違反した場合は、罰則が課されることがあります。罰金だって取られますし、悪質な場合は懲役刑だってありえます。

 

管理職でない一般社員は、完全に労働者です。そういう人たちは、労働基準法によって守られる人ですから、労働基準法の知識がなくても、大きな不利益はありません(自分の権利を知らないで損をすることはありますけど)。

 

一方で、管理職のあなたは、労働基準法を知らないと、いつの間にか法律違反を犯してしまって、罰則適用なんてことも、十分にありうるのです(「知らなかった」では許されませんよ)。

 

管理職たるもの、ある程度は法律の勉強もしましょうね。もちろん、細かい知識はいりません。そのために、会社の法務部、社労士、弁護士などがいるのですから。本当に困ったときは、遠慮なくご相談ください。

働く人のことを指す単語はいろいろあります。

・従業員

・社員

・正社員

・アルバイト

・パートタイマー

・派遣労働者

・日雇労働者

 

一方で、たまに「労働者」って聴きませんか(派遣労働者や日雇労働者には労働者という単語が含まれていますが)?なんだか古めかしいこの単語、いったい何なのでしょうか?どういう意味なのでしょうか?

 

「労働者」は、労働基準法という働く人を守るための法律上の用語です。

 

労働基準法第9条

この法律で「労働者」とは、職業の種類を問わず、事業又は事務所(以下「事業」という。)に使用される者で、賃金を支払われる者をいう。

この条文をわかりやすく言えば、次の通りとなります。

 

会社などに勤務していて、お給料をもらう人

 

重要なことは、「労働者」とは、その働く形態とか呼び名を問わず、とにかく「働いてお給料をもらう人は全員だ」ということです。つまり、上に挙げた人たちはみんな例外なく「労働者」となります。

 

このような定義になっている理由は、労働基準法が「労働者保護法」だからです。労働者という日本国内で働く人たちを守るのが仕事なのですから、働く形態とか呼び名などで差別している場合じゃないですよね。

 

確認のために具体的に言っておくと、正社員であろうが、パートタイマーであろうが、派遣労働者であろうが、日雇労働者であろうが、とにかく、働いてお給料をもらう人は、みんなみんな「労働者」として、等しく労働基準法の保護を受ける、ということです。

 

たとえば、労働基準法第26条の休業手当。

 

休業手当とは、会社の都合で労働者を休ませた場合に会社がその労働者に支払わなければならない手当(平均賃金の6割/日)のことです。この休業手当、なんとなく「正社員しかもらえないのでは」と思っている人が多いようですが、そんなことはなく、要件を満たせばすべての労働者が受け取ることができます

 

ただ、会社もその知識を持っていなかったり、持っていてもときにしらばっくれたりして休業手当が支払われないということが、往々にしてあります。労働者の方も知識がなくて請求もしなければそれまでとなってしまいますので、労働者も自らの身を守るために理論武装をきちんとする必要がありますね。

よく聞く「ノーワークノーペイ原則」とは、何でしょうか。

 

結論から言うと、「働いてない場合は給料は不要よ」ということです。

 

会社(使用者)と従業員(労働者)は、労働契約を結んでいます。労働契約とは、「会社が行った指揮命令を受けて従業員が働いた場合、その対償として会社はその従業員に相応の賃金を支払うよ」という契約です。

 

つまり、「会社の命を受けて従業員が働いた場合、会社は賃金を支払わなければならない」ということ。この契約があるから、従業員は、きちんとお給料をいただけるわけです。

 

労働契約の内容を裏がえして言うと(逆もまた真なり)、次のようになります。

従業員が働いてない場合は、会社は賃金を支払わなくて良いよ

 

これが「ノーワークノーペイ原則」です。ある意味、とってもわかりやすい話ですね。

 

したがって、遅刻や欠勤などをした場合に、対応する時間分の賃金を支給しないことはまったくかまいません。

 

産前産後休業や育児・介護休業を取って休んでいる場合も同様です(その間の生活保障のために、健康保険から出産手当金、雇用保険から育児・介護休業給付が支給されることはあります)。

 

では、年次有給休暇や、休業手当(会社都合で休業させた場合に支払う平均賃金の6割/日)などはどうなるのでしょうか?働いていないのに賃金を支払わなければならないのはなぜ???

 

これらは、ノーワークノーペイ原則の例外と位置づけられます。

 

〇年次有給休暇

 従業員がときには仕事を休んでリフレッシュできるように、賃金が保障された休暇制度として設けられました。

⇒ノーワークノーペイ原則にのっとって本来会社は賃金を支払う義務がないけれども、従業員の安心のために、例外的に会社に対して賃金支払を義務づけた、ということです。

 

〇休業手当

 従業員が休んでいるので本来会社に賃金支払義務はありませんが、従業員休業の理由が会社の都合である、すなわち会社の責任なので、従業員の生活のために、例外的に会社に賃金支払を義務づけた、ということです。

 

労働法の目的は労働者保護なので、ノーワークノーペイを原則としながらも、いろいろと例外も設けてあるのですね。

 父母が経営する居酒屋で高校を卒業した息子が働く、とします。つまり、家族でがんばる!ということですが、その場合も労働基準法は適用されるのでしょうか。

 

〇大原則

 労働基準法は、日本国内にある労働者を一人でも使用するすべての事業に適用されます。

<ポイント>

・労働基準法は属地主義を採っているので、国外の事業には適用されない。

・企業単位ではなく、事業単位での適用である。

⇒同一企業でも、本社、支社、工場は別事業。ただし、本社と支社が同一場所にあるような場合は同一事業となる。

 

〇例外

 一部、労働基準法が適用されないケースがあります。

・家事使用人

 昔の「住み込みの女中さん」をイメージしてください。今は時代遅れですね。

同居の親族のみを使用する事業、事務所

 

 さて、今回の「家族で経営する居酒屋」は、このうちの「同居の親族のみを使用する事業、事務所」に該当しそうです。それでは解説しましょう。

 

〇同居の親族のみを使用する事業、事務所は適用除外

 家族や親族だけで経営するお店等には、労働基準法が適用されません。理由は、家族は同一の利益を共有するからです。労働者は賃金のみで生活しますが、お店が儲かれば息子の生活も潤いますからね。

 

 ということで、両親と息子のみで営む居酒屋には労働基準法は適用されない、が今日の問題に対する回答となります。

 

要注意!

 ただし、このお店が、家族以外の従業員(学生バイトなど)を一人でも雇うと話が違ってくるので、要注意です。

 その場合は、「労働者を一人でも使用する事業」に該当することとなりますので、転じて労働基準法適用となります。バイトさんを保護する必要が生じますから、当然のことですね。

 そうなると、さらに、息子の扱いが変わって来ることがあります。すなわち、次の要件を満たしている場合は、息子も労働基準法上の労働者として扱われることとなります。

・事業主(父や母)の指揮命令に従っている。

・就労実態がバイトさんと同じである。

 

 息子とはいえ実態として労働者であるなら、きちんと労働者として保護するよ、ということです。具体的には、たとえば、息子が時間外労働を行った場合は割増賃金を支払わなければならないこととなります。

 

〜今日のポイント〜

・完全に家族や親族だけで経営しているなら労働基準法は適用されない(息子も、労働の実態に関わらず労働者ではない)。

・一人でも労働者を使用する場合は、事業全体に労働基準法が適用され、その際、家族も労働者と扱われることがある。

Q いざ雇用してみたら、まったく仕事ができない社員がいます。試用期間満了時に決着をつければ良かったのですが、つい温情的に雇用し続けてしまいました。あまりに使えないので今は簡単な事務作業などをやらせていますが、1日当たり2時間程度の仕事量を作るのが精いっぱいで、それ以外の時間は本人ボッとして過ごしています。それでも満額の給料を支払うのには、どうしても抵抗があります。

本当は解雇したいのですが、日本では解雇は難しいと聞きます。そこで、短時間のパートに転換するという手段はどうでしょうか。1日2時間の契約として今の事務作業をやらせ、給料は時給で2時間分だけ支払います。本来は解雇されても仕方がないところをパートにして雇用を維持するのですから、会社は感謝されてしかるべきです。これなら、だいじょうぶなのではないでしょうか。

A 本人の合意がないと無理です。

会社の気持ち、言い分も良くわかります。ただ、日本の労働法制の趣旨が「労働者保護」にあることを忘れてはなりません。いったん雇用してしまうと、悪いことをするとか病気になって復職の見込みがないとかでない限り、その身分は徹底的に守られるのです。

よって、短時間のパートへの転換は、本人の合意がない限り認められないこととなります。 

今さらですが、ご認識されている通り、試用期間満了時に行動を起こすべきでした。本採用拒否は解雇相当とされますが、それでも本採用後よりは広い範囲で会社の裁量が認められます。

今となっては、なんとかして本人を活用できる手段を探すか、それでもどうしても無理なら、選択肢は2つです。

①退職勧奨を行う。

②訴えらえることを覚悟で思い切って解雇する。

 

・最終的に②を選択する場合でも、まずは①を試してみられることをお薦めします。その際、退職強要にならないよう注意が必要です。

・訴えられたとしても、敗訴するとは限りません。本人の業務遂行能力が著しく低い、協調性がない、上司の指示に従わない、会社が解雇を避ける努力を尽くした、等が認められれば勝訴する可能性もあります。

 

いずれにしても、お一人で行動しないで、社労士や弁護士にご相談ください。

 

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一昨日の投稿で「続きは明日書く」と宣言しましたが、一日遅れになってしまってすみませんでした(だって昨日、気がついたら祝日だったんだもん)。


一昨日は、「法律は労働者に人として最低限の生活を保障する」という話をしました(こちら)。そのために、労働基準法などの法律が、「最低限の労働条件」をいろいろ定めていると。

 

それを受けて今日は、「では最低限とはどういうことか」をお話します。

 

結論から先に言うと、人によって感じ方は違うとは思いますが、一般的に言って最低限とは、決して満足できるレベルではありません。

 

具体例でお話した方がわかりやすいでしょう。

 

たとえば、休憩時間。労働基準法は、使用者(会社)に対して、労働時間の長さに応じて一定時間の休憩を与えることを義務づけています。

労働時間の長さ 休憩時間
6時間以内 与える義務なし
6時間超8時間以内 45分
8時間超 1時間

一定の休憩時間が確保されているように見えるかもしれませんが、もう一度表をじっくり見てください。次のような事実が浮かび上がって来ますね。

〇 労働時間が6時間以内なら休憩はゼロで構わない。

〇 労働時間が8時間なら休憩時間は45分で良い(1時間でなくて良い)。

〇 労働時間が8時間を超える場合(たとえば15時間であったとしても)は、休憩時間は1時間で良い。

 

おっと、実は低水準だということが、お分かりいただけるものと思います。

 

他にもいくつか挙げてみましょう。

 

<代休>

突発的に休日労働を命じられたときなどは賃金が割増で支給されますが(休日割増)、加えて代休を取れるのが一般的であると思います。

でも実は、労働基準法の考え方としては「代休は必ずしも与えなくて良い」です。なぜなら割増賃金を支払った時点で話が完結しているからです。

 

<休日>

労働基準法が使用者に義務づける休日は、「原則として1週間に1回、例外として4週に4日」です。したがって、完全週休2日制である必要はないし、国民の祝日も休ませなくて良いです。

 

<平均賃金>

休業手当(会社都合で労働者を休ませた場合に支払うもの)、解雇予告手当、休業補償(業務災害に遭って休業する労働者に対する補償金)などの金額の基礎となるものが平均賃金です。

 

休業手当を例に取りましょう。会社の都合で労働者を休ませた場合は、休業手当として1日当たり平均賃金の6割を支払わなければなりません。

 

と聞くと、「あ、お給料の6割がもらえるのね」と思いますよね。ところがどっこいそこにはカラクリがあって、実際はもっと少ないことがほとんどです。

 

秘密は、平均賃金の算出方法にあります。過去3箇月間の賃金額の平均値を取るのですが、計算式は次の通りです(労働日数が少ない人に適用される最低保障などの例外もありますが省きます)。

 

過去3箇月間の賃金総額÷その期間の暦日数

 

分母が「労働日数」ではなく「暦日数」であることがポイントですね。月給20万円の人で両者を比較してみましょう(端数は細かいので無視します)。

 

〇「労働日数(22日/月とする)」で計算

 60万円÷ 66日=1万円

〇「暦日数(91日/3箇月)とする)」で計算

 60万円÷91日≒6,593円

 

お分かりいただけたでしょう。休業手当の額は「平均賃金の6割」ですから、6,593円のさらに6割しかもらえないこととなります。

 

以上でわかるように、「法が労働者に保障するのはあくまでも最低限の労働条件」に過ぎません。過度に期待するのではなく、自らの生活は自らの手で作るとの覚悟が求められます。

 

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労働者は、「労働法」によって守られています。

 

まず「労働法」についてですが、「労働法」という名称の法律があるわけではなく、労働基準法を始めとしたさまざまな労働関係の諸法令に通達や判例を加えた、一連の法体系のことです。

 

さて、労働法は、どんなふうに労働者を守ってくれるのでしょうか。

 

労働基準法第1条1項は、次のように謳っています。

労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。

労働基準法(労働法も基本的に同じ)は、労働者に「人たるに値する生活」を保障することになっています。

 

「人たるに値する生活」とは何でしょうか。

 

実はこれが難しい。だって、明確な定義など作りようがないですから。一応、参考となる規定等をご紹介しておきます。

 

〇憲法第25条1項

 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

 

⇒そもそも憲法25条1項を受けて労働基準法は作られたので、労働基準法第1条がいう「人たるに値する生活」は、憲法第25条1項がいう「健康で文化的な最低限度の生活」とほぼ同義と考えて良いでしょう。

 

〇 通達(S22.9.13発基17号)

 「人たるに値する生活」は、標準家族の生活も含めて考えるべき。

 

⇒労働者に家族がいる場合は、家族も含めて「最低限の生活」が確保されなければ意味がない、ということですね。それはそう、当然のことです。

「標準家族」は、「一般的な構成の家族」という意味でしょう。たとえば、子が10人いる世帯については、別に考えましょうということ。

 

というわけで、労働法が労働者に保障するのは、「最低限」の生活です。そのために労働法は、もろもろの最低限の労働条件等を定めています。

 

労働基準法を例に取ると、たとえば労働時間。

 

会社と労働者は利害の対立する存在ですから、おのおの次のように考えます。

〇会社

 労働者をできるだけ長い時間働かせたい(給料はできるだけ少なく)。

〇労働者

 できるだけ短い時間しか働きたくない(給料はできるだけ多く)。

 

会社は組織、労働者は個人ですから、どうしても会社の方が立場が強く、放っておくと労働者は1日24時間働かされてしまいます(もちろん、極論ですからね)。

 

それでは到底「最低限の生活」とは言えませんので、労働基準法は、「会社が労働者を働かせることができる上限時間」を定めました。労働基準法という法律が定めているので、これを「法定労働時間」といい、「1日当たり8時間、1週間当たり40時間(一部の例外あり)」です。

 

この意味は、「1日8時間、1週間40時間までは働かせて良いけど、その時間を1分でも超えて働かせることは認めないよ」ということです(残業などの例外はいろいろあります。今日は原則論でお話ししています)。

 

罰則規定も設けられていますので、会社としては仕方なく自社の労働時間を「1日8時間、1週40時間」までに抑えることになり、結果、労働者の最低限の生活が確保される、という理屈です。

 

労働基準法は、他にも休憩時間、休日、年次有給休暇等々、さまざまな「最低限の労働条件」に関する規定を定めることで、労働者の保護を図っています。

 

今日覚えていただきたいことは、「法律が保障するのは最低限よ」ということです。これが何を意味するかは、明日お話することにします。

 

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たとえば、就業規則で一日の労働時間を7時間と定めているとします。

 

社長のあなたは、とある労働法セミナーに参加して、「労働基準法が定める労働時間の上限は8時間である」ことを知りました。

 

「えっ、だったら、うちの会社も8時間にしたい」と考えたあなたは、就業規則の改定(法律的には“変更”といいます。)を行い、そのようにしました。

 

さて、これは認められるでしょうか?

 

結論から言うと、ダメです。なぜなら、労働基準法第1条2項が次のように謳っているからです。

この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。

上の場合に当てはめると、「この法律で定める労働条件の基準」が「1日の労働時間の限度が8時間」です。「この基準を理由として」が「労働基準法が8時間までいいと言ってるから」です。「労働条件を低下」が「1日7時間を8時間に改定する」です。

 

この条文は、「低下させてはならない」と謳ってますので、「7時間」を「8時間」と修正することが、明確な法律違反であることがお分かりいただけると思います。

 

条文は続けます。「はもとより、その向上を図るように努めなければならない。」つまり、「7時間を8時間に」はもちろんダメで、それどころか、「6時間、5時間・・・」と、より労働者にとって有利な規定とするよう努力しなければならない、と謳っているのです。

 

ただし、この条文はいわゆる「訓示規定」とされ、罰則がありません。

 

「罰則がないからやってよい」ということではもちろんありません。どうしても労働者に不利に就業規則の変更を行わざるをえない場合は、労働者と真摯に話し合いを行うようにしましょう

 

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Q 国籍を理由に解雇したら法律違反になるのですか?罰則は?

A 明確な法律違反です。罰則もあります。

感覚的にもわかると思いますが、国籍を理由とした解雇はダメに決まってますし、罰則もあります。
具体的には、労働基準法第3条です。

 

<労働基準法第3条>

使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。

 

この条文の「その他の労働条件」は「職場における一切の労働条件」とされていますので、解雇も含みます。そこで、この条文を読み替えてみると、次のようになります。

 

使用者は、労働者の国籍を理由として、解雇してはならない。

 

罰則は、6箇月以下の懲役または30万円以下の罰金です。

 

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定年は、なければないでかまいませんが、定める場合は、坑内労働などの一部の例外を除いて60歳以上としなければなりません。

 

65歳未満の定年年齢を定めている企業は、65歳までの雇用を確保する義務があり、次の高年齢者雇用確保措置(いずれか)を講じなければなりません。

①65歳までの定年の引き上げ

②定年の廃止

③65歳までの継続雇用制度の導入 

⇒定年年齢を65歳以上と定める場合は、一切関係ない、ということ。

 

①と②は言うべくしてなかなか難しいですから、現実的には③で対応する企業が多いでしょう。その場合の留意点は次の通りです。

1.希望者は全員継続雇用としなければならない(ただし、就業規則の退職・解雇事由に該当している場合を除く)。

2.たとえば、1年ごとの期間雇用の更新でもかまわない

3.労働条件が多少低下することはかまわない(嘱託就業規則を作成し、明確に定めることが望ましい)。

 

嘱託就業規則の作成は、弊事務所にご相談ください。

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昨日、「定年に関する勘違い」という話をしたので、今日はその他の「良くある勘違い」話をしましょう。

 

〇 賞与

賞与を支払う義務はありません。「就業規則に書いたら支払う義務が生ずる」という人がいますが、「会社の業績によっては支払わないこともある」と書いておけば、支払わないことも可能です(もちろん、実際に会社の業績が著しく悪いとの事実が必要です)。

 

〇 退職金

退職金を支払う義務はありません。昔は一括でまとめて支払う企業が多かったですが、今は企業年金のような形で分割するとか、退職時の基本給をベースにしないとかの、いわゆる「退職金額抑制策」も多々出て来ました。

 

〇 国民の祝日

国民の祝日は休ませなくても差支えありません

休日について労働基準法は「最低1週間に1回、ただし例外的に4週を通じて4日与えること」と定めています。したがって、週休二日制である必要はないし、ましてや国民の祝日は休ませなくてもかまわない、ということになります。

 

法律はあくまでも「最低限の保障」なので、このような基準となっています。

 

なお、今日の話はすべて法律上のお話であることにご留意ください。実際には、求人との兼ね合いから賞与、退職金を支払い、国民の祝日を休ませなければならないこともあると思います。

 

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