信仰を理由に採用を拒否することができるでしょうか。

 

結論から言うと、できます。なぜなら、規制する法律がないからです。ただし、状況や程度によっては公序良俗(民法90条)違反により無効とされる可能性はあります(採用拒否の理由が信仰であるかどうかの特定が難しいですが)。

 

労働基準法第3条は、次のように謳っています。

使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。

本条は「信条(特定の宗教的又は政治的な信念)を理由とした差別を禁じており、一見「宗教を理由とした採用拒否は違法」であるかのように見えますが、最高裁判例である三菱樹脂事件(昭和48年12月12日大法廷)は、「労働基準法3条は、採用後の労働条件差別についての制約であって、採用段階での差別を制約する規定ではない」として、「思想、信条を理由とする雇入れの拒否を直ちに民法上の不法行為とすることができない」と示しました。

 

日本の解雇規制の厳しさに鑑みると採用は会社にとって大きなリスクであるので、三菱樹脂事件の判断は合理的かつ妥当なものと考えられます。



※思想、信条は本来自由であるべきなので、厚生労働省は、採用面接などで聴取しないように指導しています。会社も慎重な対応が望まれます。

 

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労務管理を軽く考えちゃう社長って多いんですよね。総務に任せっきりで対策も不十分だから、いざ事が起きたときにあたふたする。


 
起きてしまってからの対応は大変なんですよ。「転ばぬ先の杖」という言葉があるように、なんでも先手先手を打っておくと、そもそも事が起きにくいし、起きてしまっても解決がしやすい(新型コロナウィルスへの日本政府の対応が悪い例の典型ですね)。


 
会社と従業員は、そもそも利害が100%対立する存在だということを忘れてはなりません(以下、一般論)。

 

〇会社=従業員をできるだけたくさん働かせたいが、給料はできるだけ払いたくない。
〇従業員=できるだけ働きたくないが、給料はできるだけ多く欲しい。


 
100%の利害対立ですから、紛争が起きてあたりまえなのです。現状何も起きてないとすれば、その方がイレギュラーであって、起きることこそがレギュラーと考えるべきです。


 
いざ事が起きてしまうと、従業員の味方は驚くほどに多く、会社(中小企業想定)の味方は驚くほど少ない事実に気づかされます。

 

〇従業員の味方=労働局、労働基準監督署、弁護士、合同労組、裁判所
〇会社の味方=(会社側)弁護士や社労士


 
なにせ日本の労働法制は「労働者保護」が目的ですから、会社はかなり不利な戦いを強いられることを想定・覚悟するべきです。 

 

商売も資金繰り(経理)ももちろん大切ですが、人の問題も同じくらい重要、いや、というより、いったんこじれてしまったときの大変さは人の問題こそがダントツに厳しい、と考えるぐらいがちょうど良いと思います。

 


いずれにしても、大切なことは以下。

 

①労務管理を軽く見ない。
②日頃から十分な対策を取っておく。

労働基準法第15条、同施行規則第5条は、使用者の労働条件明示義務を定めています。

 

第15条

使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。 

〇絶対的明示事項(必ず明示しなければならない)
 
労働契約の期間に関する事項
期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準に関する事項
就業の場所及び従事すべき業務に関する事項
始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、就業時転換に関する事項
賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期、昇給に関する事項
退職に関する事項(解雇の事由を含む。)
 
〇相対的明示事項(定めをした場合は必ず明示しなければならない)
 
・退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項
・臨時に支払われる賃金、賞与、及びこれらに準ずる賃金、最低賃金額に関する事項
・労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項
・安全及び衛生に関する事項
・職業訓練に関する事項
・災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
・表彰及び制裁に関する事項
・休職に関する事項

明示方法は、絶対明示事項(昇給に関する事項は除く)は書面交付が必要です。相対的明示事項と昇給に関する事項は口頭でも構いません。

 

※パートタイマーの場合は、加えて「昇給の有無」「退職手当の有無」「賞与の有無」の書面交付も必要です。

 

さて、書面交付は、具体的にどのように行ったら良いでしょうか。いくつかの方法があります。

① 就業規則+辞令の交付

② 労働条件通知書の交付

③ 労働契約書を交わす。

 

① 就業規則+辞令の交付

就業規則に加え、就業規則に記述されていない労働条件(その従業員の賃金額等)を記した辞令を交付します。両者合わせて書面明示義務を果たす方法です。

 

② 労働条件通知書の交付

労働条件を記した文書を作成して交付します。会社も控を取っておくべきであることは言うまでもありません。書式は任意ですが、厚生労働省がモデル様式を公表していますので、利用すると良いでしょう。

労働条件通知書のモデル様式:https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/meiji/dl/h241026-2-betten.pdf



③ 労働契約書を交わす

労働条件を記した「労働契約書」を作成します。会社と従業員が署名捺印したものを2部作成し、おのおのが1部ずつ保管します。

労働条件通知書との違いは次の通りです。

労働条件通知書 労働基準法第15条及び施行規則第5条の労働条件明示義務を果たすために交付する文書。契約書とは異なる。労働条件通知書の交付のみを行い労働契約書を交わさないとしても、労働契約の成立にはそもそも文書が不要であるので、法的に問題はない。
労働契約書 文字通り「労働に関する契約書」である。労働契約の成立に文書は不要だが、契約書を交わすことは当然に認められる。労働契約書内に書面交付が必要な労働条件をすべて記せば、労働条件通知書を兼ねることとなる。

①②③に優劣はなく、いずれを選択してもかまいません。一般的には、正社員については③、パートタイマーについては②とする企業が多いようです(大企業は①も多い)。

 

また、書面交付に替えて、本人が希望する場合はファックスや電子メールでの交付も可とされています。

 

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新型コロナウィルス関連で、さまざまな助成金の新設・拡充が行われましたので、ご案内します。

 

〇小学校等の臨時休業に伴う保護者の休暇取得支援(予定)

新型コロナウィルスの感染拡大防止策としての小学校等の臨時休業等に伴い、保護者である労働者の休職が生じた場合に、労働基準法上の年次有給休暇とは別に有給の休暇を取得させた企業に対する助成金

・企業規模
 問わず。
・対象
 正規・非正規問わず。
・支給額
 休暇中に支払った賃金相当額×10/10(8,330円/日上限)
・適用日
 令和2年2月27日〜3月31日の間に取得した休暇

参照:https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_09869.html

 

〇雇用調整助成金の対象拡大

新型コロナウィルスの影響で業績が減少した企業が対象。日本人の観光客が減少したり、部品の供給が止まったりするなどの影響を認める。

・企業規模

 問わず(ただし、規模により支給率に差あり)。

・対象企業

 中国との関係に関わらず、新型コロナウィルスの影響で1箇月の売上が前年の同時期に比べて10%以上減少した企業

・対象

 正規・非正規問わず。

・要件

 従業員を解雇せず休業等させた場合の休業手当に要した費用の一部を助成(大企業:1/2、中小企業:2/3)

・休業期間

 今年1月24日〜5月31日(計画届の事後提出を認める)

参照:https://www.mhlw.go.jp/content/12602000/000603338.pdf

 

〇テレワーク(事業継続緊急対策)助成金(東京都)

新型コロナウィルスの拡大防止等に対する対策としてテレワークを導入する都内の中小企業に対して、その導入に必要な機器やソフトウェア等の経費を助成する。

・対象事業者

 常用労働者2名以上999名以下

 都内に本社または事業所を置く

 2020TDM推進プロジェクトに参加していること 当

・実施期間

 支給決定日以後、令和2年6月30日までに完了する取り組みが対象。

・助成対象経費

 機器等の購入費

 機器の設置・設定日

 保安委託等の業務委託料  等

・助成率

 10/10(250万円上限)

参照:https://www.shigotozaidan.or.jp/koyo-kankyo/joseikin/kinkyutaisaku.html


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内定取り消しについては、学説でもいろいろと意見が分かれるところなので、ここでご紹介するのはあくまでも一般的な考え方であることをご承知おきください。

 

リーディングケースとして大日本印刷事件(昭和54年7月20日最高裁第二小法廷)があります。内容は次の通り。

「企業からの募集に対し、求職者が応募したのは労働契約の申し込みであり、これに対する採用内定通知は、申し込みに対する承諾であって、求職者の誓約書の提出とあいまって、これにより、就労の時期を大学卒業直後とし、それまでの間、誓約書記載の採用内定取消事由に基づく解約権を留保した労働契約※が成立したと解するのが相当である」

 

※「解約権留保付き始期付き労働契約」といいます。

・解約権留保付き=誓約書記載の内定取消事由に該当した場合は内定は取り消される。

・始期付き=4月1日を就労の始期とする。

 

わかりやすくいうと、次の通りですね。

①解約権が留保されているとはいえ「労働契約は成立している

②誓約書の内定取消事由該当以外では、なかなか内定取消はできない

<誓約書記載の一般的な内定取消事由>

 ・卒業できなかったとき

 ・提出書類に重大な偽りがあったとき

 ・病気、怪我等により就労が困難になったとき

 ・その他、社会通念上、内定取消が妥当な事由が発生したとき

 

解約権は留保されていますが、「すでに労働契約は成立している」が最高裁の見解であり、したがって、内定の取消については、解雇の場合と同程度の合理的理由が必要である、ということですね。

<考えられる合理的理由(誓約書記載の内定取消事由以外)>

 〇学生サイド

  重大犯罪を犯した

 〇会社サイド

  会社業績の著しい悪化(内定時に予測できない範囲のもの)

 

会社にとって厳しいとの見方もできるでしょうが、後ろ盾や将来の保障が何もない個人を保護するためには必要な考え方であるともいえます。企業は、「一人の人間の将来を預かるのだ」との自覚に基づき、慎重に採用に当たりましょう。

 

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試用期間あれこれ②(後半)です。昨日の①(前半)と併せてお読みください。

 

「試用期間あれこれ②」

5.延長規定は必要か?

 

「4.試用期間中の解雇や試用期間満了後の本採用拒否は楽にできるのか」で解説した通りですが、本採用後は解雇が極端に難しくなりますので、「どうせ解雇するのならば試用期間満了後に」ということになります。

試用期間をたとえば3箇月と定めれば当然3箇月のうちに見極めをつけなければならない理屈ですが、そうはいっても、どうしても判断がつかないことも起き得るでしょう。

そのような場合に備えて、試用期間の延長規定を置いておくべきです(ただし、実際の延長そのものに合理的理由が見い出せない場合は、裁判等で無効とされる可能性があります)。

 

6.本採用より低い賃金を設定できるか?

 

試用期間としての趣旨にかんがみ、最低賃金を下回らない範囲で、本採用後より低い賃金額を設定することは可能です。ただしその場合は、採用の際に本採用後の賃金額を明示するのが望ましいです。

 

7.労働・社会保険の取り扱いは?

 

「試用期間中は社会保険はなし」と考えている経営者がいますが誤りで、要件を満たす場合は、労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金保険、介護保険すべて採用初日から適用です。忘れずに、雇用保険、健康保険、厚生年金保険、介護保険の資格取得の手続きを取りましょう。

 

※労災保険と介護保険については、以下の理由により、従業員個別の資格取得届の提出は不要です。

 ・労災保険:会社が加入するものだから。

 ・介護保険:健康保険の資格取得と同時に行われるから。

 

8.有期契約を試用期間として使えるか?

 

この点は、以前の記事をご覧ください。

いずれにしても、就業規則の整備が焦眉の急です。

 

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試用期間について、まとめてご説明しましょう。論点が多いので2回に分けますね。

 

「試用期間あれこれ①」

 

1. 就業規則に定めなければならない


試用期間を設けるのは自由ですが、就業規則にきちんと定める必要があります(常時10人未満の就業規則作成義務のない企業では、なにかしらの文書で)。


2. 期間の長さに上限はない

試用期間の期間の長さに法律上の上限はありません。ただし、あまり長い期間設定(3年とか)は公序良俗に反するのでダメと考えるべきです。3箇月〜6箇月が一般的です。


3. 職種によって長さを変えるのは?

試用期間の長さを全社員一律とせずに、職種ごとに変えるのもアリです。ただしそこには、合理的な理由が必要です。


4.試用期間中の解雇や試用期間満了後の本採用拒否は楽にできるのか

試用期間中は「仮ではあるが労働契約は成立している(専門的には、“解約権留保付労働契約”)」とされているので、試用期間中の解雇や本採用拒否は本採用後の解雇と同様、「合理的な理由」が必要です。むやみやたらと自由に解雇や本採用拒否ができるとの考え方は誤り、ということです。ただし、試用期間としての性質に鑑み、本採用後の解雇よりは広い範囲で解雇の自由が認められます。決着をつけるなら試用期間中か満了時点ということですね。


5. 試用期間中の解雇予告は?

労働基準法第20条は、解雇をする際の解雇予告について定めています。

・解雇予告:遅くとも30日前までに予告
・解雇予告手当:解雇予告をしない場合は平均賃金の30日分の支払
・特例:解雇予告手当を支払えばその分解雇予告期間を短縮してよい。
この解雇予告又は解雇予告手当ですが、試用期間中については、「14日を超えた後の解雇については必要」とされています。
自社の試用期間の長さに関係なく採用から14日を超えた後の解雇については適用されますので注意です。

 

次回の「試用期間のあれこれ②」では、次の点についてお知らせします。

・延長規定は必要?

・本採用後より低い賃金を設定できるか?

労働・社会保険の取扱いは?

有期契約を試用期間として使えるか?

 

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ハローワークに出した求人票記載の労働条件と実際の労働条件は、完全に一致しないといけないのでしょうか。

 

この問題は、求人票に記載した労働条件の記載方法が「見込額」であるのか「確定額」であるのかに分けて考える必要があります。

 

1.見込額である場合

「見込額」ときちんと明記した上での求人であれば、実際の労働条件との多少の差は認められる、と考えて良いでしょう。ただし、著しい相違が社会通念上認められないことは言うまでもありません。

 

2.確定額である場合

「見込額」との記載がない場合は「確定額」とみなされます。その場合は、原則としては「求人票記載の労働条件とまったく同じ労働条件で採用しなければならない」こととなります。

 

一方で、「求人者が公共職業安定所に求人の申込みをするのは、法律上申込みの誘引に過ぎず、これに対して求職者がハローワークを通じて応募するのが契約の申込みである」との考え方もあります。これによれば、「求人票記載の労働条件と実際の労働条件は、必ずしも一致しなくても良い」こととなります。

 

ただし、次の2点については当然の配慮が必要です。

① 著しい相違は好ましくないこと

 求人者は求職票を見て応募しているとの事実に鑑み、できるだけ求人票記載の労働条件に近い労働条件で採用するよう努めること

「ブラック企業」という単語自体はもはや市民権を得た感がありますが、最近とみに増殖しているのが「モンスター従業員」です。ブラック企業の対局に立つ存在ですね。

 

ルーツは、言うまでもなく「モンスターペアレント」です。わが子かわいさの余り、学校や教師に対して無理難題を押しつけ、ときには罵詈雑言を吐く存在。最近ではモンスターカスタマーなどの存在も取りざたされていますが、この流れを受けて職場に出現したのが「モンスター従業員」というわけです。

 

モンスター従業員の行動は、ある程度パターン化されています。

 

・上司の指示を聞かない。

・働かない(サボってばかり)。

・遅刻、早退、無断欠勤が多い。

・協調性がない。

・文句しか言わない。

 

こんな従業員、早々に解雇してしまえばよいと思われるかもしれませんが、そこは日本の解雇規制の厳しさがネックとなります。ちょっとやそっとのことで解雇すると、裁判に持ち込まれ結果敗訴してしまう危険性があるのです。敗訴すると、バックペイ(解雇言い渡し時点までさかのぼっての賃金支払い)や現職復帰命令が下されたりと、会社にとっては非常に酷な結果となる可能性があります。

 

上司の指示を聞かないとか仕事をしないとかやりたい放題やっているにも関わらず、解雇を避けるために遅刻、早退、欠勤は絶対にしない、といったずる賢い、ある意味新手のモンスター従業員も出現しています。会社は大いに困るけれども何も打つ手がない、といった事態に陥ることもあるのです。

 

労働者保護はもちろん大切だと思いますが、ときに、このように逆手に取って甘い汁を吸おうとする者も出現します。司法も、法を盾に一律に処理するのではなく、個々の事例ごとの柔軟な対応が望まれるところです。

 

モンスター従業員対応の決め手は、やはり就業規則の整備です。就業規則というルールすらない状態では到底戦えません。

 

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今日は、よくある勘違いについてお話ししましょう。

勘違い:「解雇予告をきちんとすればいつでも解雇して良い」

 

労働基準法第20条第1項は、次のように規定しています。

使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。

但し書きは置いておいて、原則をまとめると次のようになります。

使用者(会社)が従業員を解雇する際は、

・原則:遅くとも30日以上前に予告(解雇予告)

・特例:解雇予告の代わりに平均賃金の30日分の支払いでも良い(解雇予告手当)

さらに、第2項において、「解雇予告手当を支払った分解雇予告の期間を短縮しても良い」旨も規定されています。たとえば、「20日前に予告した場合でも10日分の解雇予告手当を支払えばそれでOK」ということです。

 

※以下、解雇予告又は解雇予告手当を、「解雇予告」と称します。

 

さて、勘違いというのは、「解雇予告をしさえすれば、自由に解雇して良い」と考える、ということです。この勘違いをしている人が意外と多い事実に驚かされます。

 

解雇をするには、合理的な理由が必要です(労働契約法第16条)。

解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

労働基準法第20条は、単に解雇の際の手続きを定めたものであり、労働契約法第16条で解雇の合理性を謳うという、「二段構え」の構成となっているのです。「両条を合わせて一つ」と捉えても良いでしょう。

 

「解雇は客観的合理的理由がなけれが行えず、加えて、行う際は手続きも遵守する必要がある」が正解です。

 

なお、労働基準法第20条に違反すると罰則が課されますが、労働契約法は民法の特別法なので、違反があった場合は、裁判等で争うこととなります。



解雇事由については、就業規則にきちんと盛り込んでおきましょう。

 

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試用期間満了後に本採用を拒否するには、きちんとした合理的な理由が必要です。

 

「もっと気楽に本採用を拒否したい」と考える企業が、標題のような手だてを考えます。

 

すなわち、「試用期間だとなにかと面倒なので、代わりにたとえば3箇月の有期契約を結ぼう。有期契約終了後気に入れば改めて社員として採用すればいいし、気に入らなかったらそのまま契約期間満了ということで問題なくさよならできるだろう」ということですね。

 

まあ、気持ちはわからないではないですが、そのような「ズルい」手法が正当な方法として通用するわけもありません。

 

最高裁判例(神戸広陵学園事件)によれば、「労働者の適性の評価・判断を目的とする有期契約は、有期契約ではなく試用期間である」とされています。

 

あまり変なことは考えずに、真っ当に労務管理を行いましょう。



有期契約と試用期間の関係についても、就業規則で明確にした方が良いですね。
 

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有期契約に試用期間を設けることができるでしょうか?

 

有期契約は、「やむを得ない事由」以外では、契約期間途中での契約解除は困難となります。そこで、「有期契約にも試用期間を設けたい」との発想が生まれます。「試用期間満了時点で適性がないと認めた場合そこで雇用契約を打ち切ることができる」との考え方が根拠になっているのでしょう。

 

回答としては、「可能だが、法的効果は何も変わらない」です。

 

法に「有期契約に試用期間を設けてはいけない」旨の規定はありませんので、試用期間を設けること自体は可能です(ただし、契約期間がたとえば6箇月しかないのに、その半分の3箇月を試用期間とするのはあまりにバランスが悪く、社会通念上無効とされる可能性があります)。

 

ただ、試用期間を設けたとしても、「試用期間満了後は簡単に契約を解除できる」ということにはなりません。理由は2つです。

 

〇試用期間を設けたとしても、「やむを得ない事由以外での有期契約の途中解約は困難」という大原則は変わらないから。

〇有期無期にかかわりなく、「試用期間満了後は簡単に契約を解除できる」との考え方は誤りだから。

⇒最高裁(三菱樹脂事件など)は、「試用期間は、仮ではあるか労働契約が成立しているので、試用期間中や満了後の契約解除には、(本採用後ほどではないけれども)合理的な理由が必要である」としています。

 

試用期間満了後の契約解除には合理的な理由が必要だし、かつ、契約期間途中での解約も難しいし、ということで、二重に規制がかかることになります。試用期間を設けないことよりも設ける方が、より契約解除は困難となる、という逆の効果を生む結果となってしまいます。

 

「有期雇用に試用期間を設ける」という採用条件はイメージが悪く採用活動に悪影響を及ぼす自体も想定されますので、いずれにしてもお薦めできない、との結論となります。

 

 有期契約と試用期間の関係についても、就業規則で明確にした方が良いですね。

 

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コロナウィルスが猛威を振るっていますが、自社の社員が感染した際の対応も考えておかなければなりません。会社として気になるのは、休業させた場合の保障についてでしょう。

 

〇 感染が確認された者

 指定感染症であるので、会社からの保障は不要。ただし、健康保険法から傷病手当金を受給できる場合あり。

 

〇 濃厚接触者(その時点では感染が確認されていない)

 ・保健所等の公の機関からの依頼で休業させた場合

  ⇒会社からの保障は不要

 ・会社判断で休業させた場合

  ⇒労働基準法第26条に基づき休業手当(平均賃金の6割)を支払う必要あり

労働基準法第26条

 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。

※ 休業手当は、パートタイマーや契約社員にも適用されます。

※ 上記のうち「保障不要」な場合であっても、会社裁量で特別に何かしらの保障を行うことはかまいません。

※ このような措置は、根拠がないと揉める原因となるので、就業規則にきちんと記しておくようにしましょう。

今日の話は、特に中小企業の経営者に方に読んでいただきたく思います。

「え、労働組合?うちは中小企業だから関係ないよ」という考え方は、非常に非常に危険です。

 

こんなニュースがありました(少し前ですが)。

「〜セブンイレブンの不当労働行為認定 労組との団体商工拒否/岡山県労委〜 

岡山県労働委員会は20日、センブーイレブン・ジャパン(東京)がコンビニエンスストア加盟店主らで組織する労働組合、コンビニ加盟店ユニオン(岡山市)との団体交渉を拒否したのは、不当労働行為と認定し、交渉に応じるよう命じた(時事通信)。」

 

会社側は「加盟店主は独立した事業者だ」として団体交渉を拒否したのですが、労働委員会の命令書では「事業者とはいえ独立性は希薄で、労働組合法上の労働者に当たり、団体交渉拒否については正当な理由がない」と結論づけました。

 

労働組合法第7条(不当労働行為)に次のような記述があります。


   使用者は、次の各号に掲げる行為をしてはならない。

第2項 

使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと。 


つまり、労働組合から団体交渉の申し入れがあった場合、会社は原則として拒否することはできず、交渉のテーブルに就かなければならないということです。

 

さて、中小企業の経営者の方、「労働組合のないうちには関係ない話だ」と思わないでください。

 

確かに日本は「企業別労働組合」が一般的であり、中小企業の場合は労働組合がないことが多いです。

でも、「合同労組」の存在を忘れてはなりません!

 

〜合同労組〜

 所属する職場や雇用形態に関係なく、産業別、業種別、職業別、地域別に組織する労働組合のこと。略称は合同労組(ごうどうろうそ)。主に、組合の無い中小零細企業の労働者が個人単位で加入する。

○ 主な合同労組

純粋な合同労働組合
・全国コミュニティ・ユニオン連合会(略称:全国ユニオン、連合に加盟)
・コミュニティ・ユニオン全国ネットワーク(略称:ユニオン全国ネット、全国ユニオンの母体組織)
・全国一般評議会(自治労、日本労働組合総連合会(連合)に加盟)
・全労連・全国一般労働組合(略称:全労連・全国一般、全国労働組合総連合(全労連)に加盟)
・全国一般労働組合全国協議会(略称:全労協・全国一般、全国労働組合連絡協議会(全労協)に加盟)
その他の合同労働組合
・全国繊維化学食品流通サービス一般労働組合同盟(略称:UIゼンセン同盟、連合に加盟)
・全日本建設交運一般労働組合(略称:建交労、全労連に加盟)
・全国学校労働者組合連絡会(略称:全学労組)
・フリーター全般労働組合(コミュニティ・ユニオン全国ネットワークに加盟)
・北大阪合同労働組合(大阪の北摂地域を拠点とする地域合同労働組合)
(ウィキペディアより)

 

社内労働組合のない中小企業の社員でも合同労組に加入することができます。そして、大切なことはここです。

合同労組から団体交渉の申し入れがあった際は、社内労組の場合と同様、会社は拒否することができません!

 

つまり、社内労組があるのと何ら変わらないのです。

 

そして、合同労組を舐めてはいけません。だって、彼らは会社との交渉が主業なのですよ。それで飯を食っているプロ中のプロなのです。

 

社長の弱いところを突き、心理戦をしかけます。あえて言ってしまいますが、暴力こそ振るいませんが、戦略的にそれに近いこともやります。

 

そんな海千山千の担当者が、ある日突然乗り込んで来る可能性が十分にあるのです。

 

恐ろしいですよね。

 

対策を取っておきましょう。大切なことは2点です。

 

1.社長もある程度労働法を勉強しておく。

ろくな労働法の知識すら持っていない社長をやりこめるなど、合同労組の担当者にとっては、赤子の手をひねるより簡単です。

2.いつでも助っ人を頼める体制を作っておく。

労働法の知識はつけていただきたいのですが、でも、付け焼刃ではかえって危険です。そこは、プロにおまかせください。そのために社会保険労務士がおります(労働法専門の弁護士でも良いが、数が少ないです。価格のことはわかりません)。

 

絶対に、絶対にひとりで戦ってはダメです。勝てるはずがありません。相手がプロならこちらもプロで対抗するしかないのです。

長らく更新ができず、大変申し訳ありませんでした。毎年のことですが、やはり12月はキビシイです。

ちなみに今日はクリスマスイブ。東京は暖かくてホワイトクリスマスは望めそうもありません・・・。



さて、今日は労働契約のあれこれ⑤ テーマは、労働契約の長さについて、です。

労働契約には、期間を定めないもの(無期契約)と定めるもの(有期契約)があります。

 

期間を定めるか否かは、当時者(会社と本人)の完全な自由です。

 

無期契約=正社員

有期契約=契約社員

 

と考えるとわかりやすいですね。

 

さて、おのおのの契約の期間の長さについて、少し掘り下げて考えてみましょう。

 

〇無期契約

 無期契約は、そもそも期間を定めないのですから、期間の長さについては考える必要もありません。

でも、定年ってありますよね。無期契約の社員でも、たとえば60歳の定年になれば退職となります(その後の継続雇用については別の話です)。定年がある場合は無期契約ではなくて有期契約ということになるのでしょうか???

 解答は、「定年があっても無期契約は無期契約」です。定年とは、「その時期が来れば自動的に労働契約が解除される」ということであって(自然退職といいます)、「期間を定めた」ことには該当しない、という解釈になっているからです。

 

〇 有期契約

 無期契約に対して有期契約はそもそも「期間を定める契約」ですから、期間の長さんについてちゃんと考える必要がありそうです。

 

 有期契約の期間の長さ

  上限
原則 3年
例外 有期事業の場合 上限なし
高い専門知識のある人との契約の場合 5年
満60歳以上の人との契約の場合

1つずつ解説しましょう。

(1)原則

 労働契約の期間は、原則として3年が上限です。上限を設けた理由は、不当な人身拘束の防止です。どうしても耐えられない場合は3年経てば辞められる権利を労働者に保障しています(ただし、法律には細かい規定があって、実際には1年経てば辞められます。ただし、原則の場合に限ります)。

 最初に決めた期間が到来した際に(3年と決めたら3年)、会社と本人が合意の上で契約を更新することは一向にかまいません

 

(2)例外

 3年で上限が原則ですが、いくつかの例外があります。

① 有期事業の場合

 有期事業とは、ビルやダムなどの建設工事のことです。有期事業での労働契約の場合は、上限がありません。たとえばビルが完成すれば労働契約が自然終了することが明らかなので、不当な人身拘束につながる恐れがないからです。

 

② 高い専門知識のある人との契約の場合

 外部から専門家を招へいして新規プロジェクトを推進するような場合が該当します。その場合は5年の契約が認めまれます(もちろん、更新も可)

③ 満60歳以上の人との契約の場合

 せっかく職を得た高齢者が少しでも長く働けるようにとの配慮で、5年の契約が認められます(もちろん、更新も可)。


次回は、無期雇用への転換について説明します。

労働契約のあれこれ④です。今日は派遣労働者のお話。

 

派遣労働者も労働者ですから、派遣で働くということはイコール「会社と労働契約を結ぶ」ということです(これまでお話してきた通り、特に文書は不要)。

 

でも、派遣労働者は、派遣元企業と派遣先企業という2つの会社と関わりますよね。労働契約はどちらと結ぶのかとか、法律上の責任の所在などはどうなっているのか、が今日のテーマです。

 

〇労働契約はどちらと結ぶの?

 労働契約は、派遣元企業と結ぶことになっています。派遣先企業とは指揮命令関係があるのみで、労働契約はないとの考え方です。また、労働契約そのものではありませんが、派遣元企業と派遣先企業は、「労働者派遣契約」を結んでいます。

 

※労働者派遣契約ひな形(途中まで)

〇法律上の責任の所在は?

 労働契約は派遣元企業とのみ結んでいますから、労働基準法等に基づくさまざまな責任は派遣元企業が負います。ただし、働くのは派遣先企業ですから、日々の労働から生ずる労働条件等に関する責任(具体的な労働条件、休憩、休日等)については、派遣先が負うこととされています。

 

〇労働条件明示義務は?

 すでにご説明した労働基準法第15条の労働条件明示義務は派遣労働者についても適用されますから、派遣元企業は必要事項をきちんと明示しなければなりません(絶対的明示事項は書面による)。

 また、派遣法という法律により、派遣料金についても書面明示が必要とされています。

労働契約のあれこれ③です。

今日は、「雇用契約ってよく聞くけど、労働契約とどう違うの?」とのご質問を受けたので、お答えします。

 

結論から言うと、同じものと考えてもらっていいです。厳密には違うといえば違うんですけど、まあ、同じものと捉えていただいて実害はありません。

 

違いといえば、雇用契約は民法上の概念であるのに対し、労働契約は労働法上の概念であることです。

<雇用契約>

民法623条

 雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。

<労働契約>

労働契約法6条(労働基準法には、労働契約の定義はありません)

 労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。

まあ、読んだ感じ、同じような意味ですよね。厳密に言えば、次のような違いがあります。

〇範囲の違い(雇用契約の「一方の当事者」、労働契約の「労働者」)

・雇用契約:すべての労働者(労働基準法等で適用除外とされる者も含む)

・労働契約:すべての労働者。ただし、労働基準法で適用除外とされる者(同居の親族のみを使用する場合の労働契約など)は含まない。

〇規制態様の違い

・雇用契約:基本的に契約の自由が適用される

・使用者に対する法によるがんじがらめの規制あり

つまり、民法では、使用者と労働者を平等と考えているのに対し、労働法では、労働者は使用者によって虐げられがちなかわいそうな存在(だからこそ守ってあげよう)としている、ということです。

 

このように厳密に言えば違いはあるのですが、会社などの現場でそこまで気にする必要はありません。まあ、雇用契約、労働契約、どちらの用語を使ってもOKと考えて良いでしょう(ただし、個人的には、無用なもめごとを防ぐために、労働契約の方を推奨します)。

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これは、先日記事を書かせていただいた労働調査会の「月刊社労士受験」です。ただし、雑誌そのものではなく、宣伝リーフレットとして(10ページ程度)社労士会の会報に挟み込まれたものです。

 

労働調査会さんもがんばってくれています。

 

私も、かなり力を入れて書いたので、とってもお勧めの記事です。ぜひご一読を!

12月になりましたね。今年もあと少し、がんばっていきましょうj!

 

今日は、労働契約のあれこれ②です。パートタイマーや有期雇用労働者の労働契約について(派遣従業員も該当しますが、派遣については別に書きます)。

 

※法律では、パートタイマーのことを「短時間労働者」といいます。短時間労働者とは、「正社員より労働時間の短い人」です。どれぐらい短いかが規定されていないので、ほんの少しでも短い人は全員該当することになります。

 

パートタイマーや有期雇用労働者との労働契約も、正社員と同じく文書は不要です。

 

また、労働基準法第15条も同様に適用されるので、会社は労働条件を文書によって明示することが必要です(労働契約のあれこれ①参照)。

 

労働条件の明示については、パートタイム労働法という法律により、次の事項(特定事項)も加えて書面明示が義務づけらています

・昇給の有無

・退職手当の有無
・賞与の有無
・短時間労働者の雇用管理の改善等に関する事項に係る相談窓口

パートタイマーは、正社員より何かと冷遇されることが多く、労働条件明示も満足になされていないのが実態です。そこで、法律は、正社員に対するよりもより厳しい明示義務を会社に課した、ということですね。お、法律、なかなかよく実態をとらえて作られてるじゃないですか!

この明示義務の実現のために、厚生労働省は、「
労働条件通知書」なるモデル様式を公表しています。

(クリックすると大きくなります)

 

「この書類を使うことが推奨」が厚生労働省のスタンス。つまり、「この書類を使わなければいけない」わけではなくて任意の書式で良いけども、「この書類を使ってくれれば完璧だよ」というわけ。

 

まあ、変に抵抗せずに、この用紙を使わせていただきましょうよ。

 

※この用紙は、パートタイマー専用の書式です。他に正社員専用とか派遣労働者専用とかいろいろありますが、必要な方は以下のページからダウンロードしてください。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoujouken01/

 

ポイントは、労働条件通知書はあくまでも通知書であって、労働契約書ではないこと。したがって、従業員本人の署名は不要です。会社が作成して会社のハンコだけ押して本人に交付すればそれでOKです。あ、当然ですが、コピーを取っておくのを忘れてないようにしましょう。

 

2020年4月から(中小企業は1年遅れ)は、パートタイム労働法が法律改正により「パートタイム・有期雇用労働法」となり、上の特定事項の書面明示義務が有期雇用労働者についても同様に適用されるようになります。

 

とにかく、法律をきちんと守っていないと、罰金などもありますが、それ以上に、会社の信用にかかわります。優秀な人材が来てくれませんし、せっかく雇用した従業員も愛想を尽かして辞めてしまうかもしれません。たいした手間でもないのですから、しっかり守りましょう。

今日は、「労働契約のあれこれ②」を書こうかと思ったのですが、よく考えたら土曜日です。いや、私自身は土曜日働いても全然OKですが、世は働き方改革の波がうねっている昨今です。一応今日は真面目な話はやめて、余談的なお話をしましょう(結局、書くんかい!)。

テーマは、文章は読者目線で。

 

 今、ある本を読んでいます。そういう意図ではないですが結果的に批判になるので、書名は明かしません。

この本、表紙に、「読むだけでわかるよー」とか「簡単に理解できる」といった美辞麗句というか、「とにかく誰でもすぐに読めておもしろいよー」といった感じのキャッチフレーズが散りばめられています。

「あ、これならきっと楽しく読めるに違いない」と誰でも思うし、私もそういう気持ちで手に取りました。

ところが、実際に読んでみると、いやいや、難しい、難しい。最初の10ページを読んだだけですが、早くも挫折しそうです。

理由は明白。
この著者は、読者が読みたいものではなく、自分が書きたいものを書いているから です。

きっと研究者なのでしょう。ご自分が研究して得た知識を、書きたくて書きたくて仕方がない、その気持ちに素直に従っているので、
読者目線というものが欠如している   のですな。頭のすこぶるよろしい方に多く見られる傾向です。

申し訳ないですが、見開き2ページの中に知らない人の名前が10個も出て来ちゃあ、誰も読む気なんてしませんよ。

表紙の美辞麗句は、おそらく編集者が書いたもので、きっと著者が執筆する前から決まっていたものでしょう。それをそのまま修正することなく載せてしまったので、内容との著しい齟齬が生じてしまったということでしょうね。

今回のお話に登場した書籍であろうが、ビジネス文書であろうが、社内通達であろうが、ここのようなブログであろうが(したがって、自戒も込めてということです)すべて同じですが、

文章は読み手の立場になって書く」 この教訓をわれわれは改めて心に刻む必要がありそうです。

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