よく聞く「ノーワークノーペイ原則」とは、何でしょうか。
結論から言うと、「働いてない場合は給料は不要よ」ということです。
会社(使用者)と従業員(労働者)は、労働契約を結んでいます。労働契約とは、「会社が行った指揮命令を受けて従業員が働いた場合、その対償として会社はその従業員に相応の賃金を支払うよ」という契約です。
つまり、「会社の命を受けて従業員が働いた場合、会社は賃金を支払わなければならない」ということ。この契約があるから、従業員は、きちんとお給料をいただけるわけです。
労働契約の内容を裏がえして言うと(逆もまた真なり)、次のようになります。
「従業員が働いてない場合は、会社は賃金を支払わなくて良いよ」
これが「ノーワークノーペイ原則」です。ある意味、とってもわかりやすい話ですね。
したがって、遅刻や欠勤などをした場合に、対応する時間分の賃金を支給しないことはまったくかまいません。
産前産後休業や育児・介護休業を取って休んでいる場合も同様です(その間の生活保障のために、健康保険から出産手当金、雇用保険から育児・介護休業給付が支給されることはあります)。
では、年次有給休暇や、休業手当(会社都合で休業させた場合に支払う平均賃金の6割/日)などはどうなるのでしょうか?働いていないのに賃金を支払わなければならないのはなぜ???
これらは、ノーワークノーペイ原則の例外と位置づけられます。
〇年次有給休暇
従業員がときには仕事を休んでリフレッシュできるように、賃金が保障された休暇制度として設けられました。
⇒ノーワークノーペイ原則にのっとって本来会社は賃金を支払う義務がないけれども、従業員の安心のために、例外的に会社に対して賃金支払を義務づけた、ということです。
〇休業手当
従業員が休んでいるので本来会社に賃金支払義務はありませんが、従業員休業の理由が会社の都合である、すなわち会社の責任なので、従業員の生活のために、例外的に会社に賃金支払を義務づけた、ということです。
労働法の目的は労働者保護なので、ノーワークノーペイを原則としながらも、いろいろと例外も設けてあるのですね。