問題提起
【平成28年2月14日】
「2017年卒マイナビ大学生のライフスタイル調査」が発表されたことを受けて、
今日は少し問題提起をしてみたいと思います。
誤解があってはいけないので最初にしかとお伝えしておきますが、
私は、
〇 少子化対策は我が国にとって焦眉の急であると考えています。
〇 したがって、産前産後休業や育児休業などの出産・育児支援策の充実には賛成です。
〇 また、法が認めた制度である以上は、労働者の当然の権利であることも承知しています。
その上での、あえての問題提起です。
このライフスタイル調査の中に、「男子の育児休暇を取る理由は、『当然の権利だと思う』が大きく増加し約3割」という項目があります。それについて。
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産前産後休業から育児休業へと続く休業は、長い場合は1年6カ月にも及びます。
健康保険や雇用保険から給付金も支給され、本人は安心して育児に専念できます。
一方で会社は、代替要員の確保など、負荷を負います。
大企業ならばその負荷にも耐えられると思うのですが、中小企業では事はそう簡単ではありません。
代替要件をどのように確保するか。選択肢としては、「正社員やパートの直接雇用」「派遣労働者の活用」が考えられますが、
〇 正社員を雇用した場合=育休社員が復帰してきたときに辞めてもらうわけにはいかず、人件費の高騰を招きます。
〇 パートの場合=良い人が見つかれば良いですが、人によっては「パートであるがゆえの誠実さの欠如」の問題に遭遇することがあります(と言うより、実際問題多いです)。
〇 派遣を活用する場合=その業務が高度な習熟を要することがあるという可能性があります。派遣労働者を連れて来てその日からそつなくこなせる業務ばかりではないのです。
さらに、同僚の気持ちの問題も忘れてはなりません。仮に女性社員が産休⇒育休で長期間休むとして、同僚の女性が、快く思う場合だけではないのです。いや、むしろ、快く思わないことの方が多いでしょう。
「勝手に妊娠して、この忙しいのに長期間休むなんて考えられない!」
お互いさまと言えばそうですが、人の心はそう割り切れるものではありませんし、結婚や出産を経験しない女性もいるのです。
若い女性が多い職場では、次から次へと産休⇒育休を取る女性が出現する懸念もあります。
法律が認める権利であることは重々承知していますが、とは言っても、会社としてはそうそう簡単には受け入れがたいとの気持ちもよくわかるのです。
お役人が理想論で法律を作るのは良いのですが、事件は常に現場で起きているのですよ。
労働者の権利擁護はもちろん必要ですが、一方でそのために苦しんでいる企業がいることも見過ごしてはならない、と考えます。
「誰かが幸せになるために他の誰かが犠牲になる」というシステムはどうかな、と思うのですよ。
「みんなが幸せになれる」妥協点を探す努力を怠ってはならない、と考えます。