「ブラック企業」という単語自体はもはや市民権を得た感がありますが、最近とみに増殖しているのが「モンスター従業員」です。ブラック企業の対局に立つ存在ですね。
ルーツは、言うまでもなく「モンスターペアレント」です。わが子かわいさの余り、学校や教師に対して無理難題を押しつけ、ときには罵詈雑言を吐く存在。最近ではモンスターカスタマーなどの存在も取りざたされていますが、この流れを受けて職場に出現したのが「モンスター従業員」というわけです。
モンスター従業員の行動は、ある程度パターン化されています。
・上司の指示を聞かない。
・働かない(サボってばかり)。
・遅刻、早退、無断欠勤が多い。
・協調性がない。
・文句しか言わない。
こんな従業員、早々に解雇してしまえばよいと思われるかもしれませんが、そこは日本の解雇規制の厳しさがネックとなります。ちょっとやそっとのことで解雇すると、裁判に持ち込まれ結果敗訴してしまう危険性があるのです。敗訴すると、バックペイ(解雇言い渡し時点までさかのぼっての賃金支払い)や現職復帰命令が下されたりと、会社にとっては非常に酷な結果となる可能性があります。
上司の指示を聞かないとか仕事をしないとかやりたい放題やっているにも関わらず、解雇を避けるために遅刻、早退、欠勤は絶対にしない、といったずる賢い、ある意味新手のモンスター従業員も出現しています。会社は大いに困るけれども何も打つ手がない、といった事態に陥ることもあるのです。
労働者保護はもちろん大切だと思いますが、ときに、このように逆手に取って甘い汁を吸おうとする者も出現します。司法も、法を盾に一律に処理するのではなく、個々の事例ごとの柔軟な対応が望まれるところです。
モンスター従業員対応の決め手は、やはり就業規則の整備です。就業規則というルールすらない状態では到底戦えません。