有期契約に試用期間を設けることができるでしょうか?
有期契約は、「やむを得ない事由」以外では、契約期間途中での契約解除は困難となります。そこで、「有期契約にも試用期間を設けたい」との発想が生まれます。「試用期間満了時点で適性がないと認めた場合そこで雇用契約を打ち切ることができる」との考え方が根拠になっているのでしょう。
回答としては、「可能だが、法的効果は何も変わらない」です。
法に「有期契約に試用期間を設けてはいけない」旨の規定はありませんので、試用期間を設けること自体は可能です(ただし、契約期間がたとえば6箇月しかないのに、その半分の3箇月を試用期間とするのはあまりにバランスが悪く、社会通念上無効とされる可能性があります)。
ただ、試用期間を設けたとしても、「試用期間満了後は簡単に契約を解除できる」ということにはなりません。理由は2つです。
〇試用期間を設けたとしても、「やむを得ない事由以外での有期契約の途中解約は困難」という大原則は変わらないから。
〇有期無期にかかわりなく、「試用期間満了後は簡単に契約を解除できる」との考え方は誤りだから。
⇒最高裁(三菱樹脂事件など)は、「試用期間は、仮ではあるか労働契約が成立しているので、試用期間中や満了後の契約解除には、(本採用後ほどではないけれども)合理的な理由が必要である」としています。
試用期間満了後の契約解除には合理的な理由が必要だし、かつ、契約期間途中での解約も難しいし、ということで、二重に規制がかかることになります。試用期間を設けないことよりも設ける方が、より契約解除は困難となる、という逆の効果を生む結果となってしまいます。
「有期雇用に試用期間を設ける」という採用条件はイメージが悪く採用活動に悪影響を及ぼす自体も想定されますので、いずれにしてもお薦めできない、との結論となります。
有期契約と試用期間の関係についても、就業規則で明確にした方が良いですね。