試用期間について、まとめてご説明しましょう。論点が多いので2回に分けますね。
「試用期間あれこれ①」
1. 就業規則に定めなければならない
試用期間を設けるのは自由ですが、就業規則にきちんと定める必要があります(常時10人未満の就業規則作成義務のない企業では、なにかしらの文書で)。
2. 期間の長さに上限はない
試用期間の期間の長さに法律上の上限はありません。ただし、あまり長い期間設定(3年とか)は公序良俗に反するのでダメと考えるべきです。3箇月〜6箇月が一般的です。
3. 職種によって長さを変えるのは?
試用期間の長さを全社員一律とせずに、職種ごとに変えるのもアリです。ただしそこには、合理的な理由が必要です。
4.試用期間中の解雇や試用期間満了後の本採用拒否は楽にできるのか
試用期間中は「仮ではあるが労働契約は成立している(専門的には、“解約権留保付労働契約”)」とされているので、試用期間中の解雇や本採用拒否は本採用後の解雇と同様、「合理的な理由」が必要です。むやみやたらと自由に解雇や本採用拒否ができるとの考え方は誤り、ということです。ただし、試用期間としての性質に鑑み、本採用後の解雇よりは広い範囲で解雇の自由が認められます。決着をつけるなら試用期間中か満了時点ということですね。
5. 試用期間中の解雇予告は?
労働基準法第20条は、解雇をする際の解雇予告について定めています。
・解雇予告:遅くとも30日前までに予告
・解雇予告手当:解雇予告をしない場合は平均賃金の30日分の支払
・特例:解雇予告手当を支払えばその分解雇予告期間を短縮してよい。
この解雇予告又は解雇予告手当ですが、試用期間中については、「14日を超えた後の解雇については必要」とされています。自社の試用期間の長さに関係なく採用から14日を超えた後の解雇については適用されますので注意です。
次回の「試用期間のあれこれ②」では、次の点についてお知らせします。
・延長規定は必要?
・本採用後より低い賃金を設定できるか?
・労働・社会保険の取扱いは?
・有期契約を試用期間として使えるか?