試用期間あれこれ②(後半)です。昨日の①(前半)と併せてお読みください。
「試用期間あれこれ②」
5.延長規定は必要か?
「4.試用期間中の解雇や試用期間満了後の本採用拒否は楽にできるのか」で解説した通りですが、本採用後は解雇が極端に難しくなりますので、「どうせ解雇するのならば試用期間満了後に」ということになります。
試用期間をたとえば3箇月と定めれば当然3箇月のうちに見極めをつけなければならない理屈ですが、そうはいっても、どうしても判断がつかないことも起き得るでしょう。
そのような場合に備えて、試用期間の延長規定を置いておくべきです(ただし、実際の延長そのものに合理的理由が見い出せない場合は、裁判等で無効とされる可能性があります)。
6.本採用より低い賃金を設定できるか?
試用期間としての趣旨にかんがみ、最低賃金を下回らない範囲で、本採用後より低い賃金額を設定することは可能です。ただしその場合は、採用の際に本採用後の賃金額を明示するのが望ましいです。
7.労働・社会保険の取り扱いは?
「試用期間中は社会保険はなし」と考えている経営者がいますが誤りで、要件を満たす場合は、労災保険、雇用保険、健康保険、厚生年金保険、介護保険すべて採用初日から適用です。忘れずに、雇用保険、健康保険、厚生年金保険、介護保険の資格取得の手続きを取りましょう。
※労災保険と介護保険については、以下の理由により、従業員個別の資格取得届の提出は不要です。
・労災保険:会社が加入するものだから。
・介護保険:健康保険の資格取得と同時に行われるから。
8.有期契約を試用期間として使えるか?
この点は、以前の記事をご覧ください。
いずれにしても、就業規則の整備が焦眉の急です。