少し話が戻りますが、「面接時に聞いてはいけないこと」についてお話しします。
面接時に聞いてはいけないことは、大きく2つの類型に分けられます。
1.本人に責任のない事項の把握
2.本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)の把握
1.本人に責任のない事項の把握
・本籍、出生地に関すること
⇒「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票(写し)を提出させることも認められません。
・家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)
⇒家族の仕事の有無・職種・勤務先などの家族構成が該当
・住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など)
・生活環境、家庭環境などに関すること
2.本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)の把握
・宗教に関すること
・支持政党に関すること
・人生観、生活信条に関すること
・尊敬する人物に関すること
・思想に関すること
・労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)、学生運動など社会運動に関すること
・購読新聞、雑誌、愛読書などに関すること
実際に聴取されてる内容の順位は次の通りです。
以上は、厚生労働省のページの情報をまとめたものです。
https://www.mhlw.go.jp/www2/topics/topics/saiyo/saiyo1.htm
以下は、弊事務所の見解です。
① 意識していないと「つい聞いてしまうこと」ばかりですね。面接官たるもの、高い意識を持って行動しましょう。
あなたが求職者を見極めている場面ですが、求職者の方もあなたを通じて会社を見極めています。優秀な人材を確保するためにも、あなたの行動の自制が必要です。
② 実際に聞かれている内容では、「家族に関すること」が圧倒的に多いですね。何気なく「お父さんはどんなお仕事をしてらっしゃるの?」などと聞いてしまうということでしょう。
③ 2については、「思想・信条を理由として採用を拒否したとしても、必ずしも違法とはならない」ことは以前に書いた通りですが(ここ)、だからと言って、面接時に思想・信条に関することを聴取して良いということにはなりません。「本来自由であるべき事項」であるとの認識を持ちましょう。
④ その他、男女差別やセクハラに該当するような質問も避けましょう。
・彼氏(彼女)はいるの?
・結婚・出産しても働き続ける?
・血液型は?
じゃあ、何を聞いたらいいんだよ!と言いたくなる気持ちもわかりますが、よく考えれば仕事に直結する生産的な質問はいろいろあります。
・あなたにとって「働く」とはどういうことですか。
・当社に入社したらどういう仕事をしたいですか?
・仕事に対する意気込みを教えてください。
・仕事人として社会にどのように貢献したいですか? 等々