父は、釣りが大好きな人でした。子供の頃から平田(へだ)で磯釣りにいそしんでいたらしいです。
私がある程度大きくなってからは(その頃は名瀬住まい)、2人でよく名瀬市近くの岩場へ磯釣りに行きました。
父は、磯釣りだけでなく「船釣りがしたい!」との希望をずっと持っていたらしく、60歳を過ぎてから一念発起、小型船舶操縦士免許を取り、何百万円も出して船を買ってしまいました。
ちなみにこの船、奄美島唄の代表的なウタシャ(歌い手)の一人である坪山豊さんが作ったものとのこと。あ、正確には船の製作を生業としている方がウタシャもやってるということですけどね。
それからは、父は毎週末ごとに船釣りに行ってました。私もときどき同行。
奄美では、いろいろな魚が釣れますが、その一部をご紹介します。亜熱帯ですから色とりどりですが、基本的にはすべておいしいです。小さいのは唐揚げやみそ汁、焼き魚など、大きいのはお刺身でいただきます。( )の中は奄美の方言です。
奄美の代表的な魚ブダイ(イラブチ)。よく釣れます。すごい色ですが、身はきれいな白身でお刺身でとってもおいしいです。
ホウライヒメジ(カタス)。髭があるので「おじさん」と呼ばれる魚です。味は「おじさん臭い」と言われますが、私は唐揚げでいただくととってもおいしいと思います。
キヌベラ(クサビ)。こいつもよく釣れます。小さいので唐揚げでいただきます。
ヒトミハタ(ネバリ)。お味噌汁に入れると、出汁がものすごく出て、とってもおいしいです!
ヒラニザ(コーグル)。奄美の方言で皮のことを「コー」、黒色のことを「グル」といいます。この魚は皮が黒いので「コーグル」というということです。
ミナミクロダイ(チン)。30cm程度のある程度大きなのがたまに釣れます。お刺身最高!
カワハギ(ヤチャ)。カワハギの名の由来は「皮が剥がしやすいから」だとか。実際、皮を剥ぐのが好きでした(カワハギ君、ごめん)。身はしまっていて、適度な歯ごたえがあり、とっても美味ですっ!
うちの冷蔵庫には常に父が釣った魚が入っていました。その父も今は亡く、もう奄美で釣りに行くことはないでしょうね、私は、正直あまり釣りには興味がないので。でも、もちろん、父との釣りは良き思い出です。