今日の記事についてまずお伝えしたいこと
・労働法制を批判する趣旨ではありません。
・労働者の権利擁護は当然必要であると考えています。
・その上で、企業側から見た場合の現実の一面をお知らせします。
労働者が安心して働けるように、労働法制が整備されています。会社と労働者が基本的に利害の対立する存在である以上、それは当然に必要なことです。
ただ、会社側の事情に目を向けてみると、特に中小企業においては、法が要請する労働者の権利の擁護が実質的に難しい場合もあるようです。
たとえば、育児休業。労働者は、育児・介護休業法によって育児休業を取得する権利を持っています。原則としては子が1歳になるまでですが、保育所に入所できない等の特別の理由がある場合は、最長で2年まで延長できます。
また、その後すぐに2人目を妊娠したような場合は、そこからまた最長で2年、都合4年間休むことができます(3人目以降ももちろん同じ)。
中小企業において、この権利を徹底的に行使されたら何が起こるかを考えてみましょう。
中小企業とは言っても、ある程度人数がいる企業であれば可能かもしれませんが、たとえば、10名程度の企業をイメージしてください。社員全員が重要な役割を担っていて、一人でも欠けると業務の遂行そのものに多大な影響が出る・・・(業種にもよると思いますが)。
そんな企業で、一人の社員が1年、2年、もしかしたら4年もの長きに渡って会社に来なかったらどうなるでしょうか?
「派遣労働者で対応すればいいじゃん!」とおっしゃる方もいらっしゃるかもしれませんが、世の中には経験が何よりも大切であって派遣労働者では明らかに対応が無理な仕事もあります。
となると仕方がないので、経験のある人を正社員として雇用する、でも、1年〜〇年経ったら休業中の労働者が戻って来てしまう。その後は人件費過多になってしまう・・・。
もはやにっちもさっちもいかない・・・。
中小企業とはそういうものなのです。
「一人」の例を挙げましたが、同時期に「2人」とか「3人」というケースも想定しなければなりません。
いや、「法の要請をきちんと守るのが企業の役割、それができないのであれば会社を経営する資格がない」という理屈もよくわかりますし、否定する気もありません。
ただ、理想論通りの運用が現実的に難しい面も多々ある「現場のリアル」にも少しだけ目を向けていただきたくて、この記事を書きました。
あちらを立てればこちらが立たずという言葉がありますが、まさにその通り。なかなか難しいです。
〜追記〜
「産休・育休のフォローはお互い様だよ」という声を聞きますが、それは少し違うと思います。なぜなら、フォローをする人の中には、子が欲しくても授からない女性もいるからです。
※弊事務所は、ブラック企業の味方は一切致しません!