今日のテーマは、「在籍出向の場合に、出向先で懲戒処分を行えるか」です(移籍出向では、出向元との労働契約が破棄されるため、そのような問題は起きません。)。
在籍出向とは、出向元との労働契約を保持したまま出向先とも二重に労働契約を締結する形態です。
在籍出向中の社員が出向先で非行を行った際に、出向先企業が自社の就業規則の規定に基づき懲戒処分を行うことができるかが問題となります。
この問題は、いろいろと複雑な要素を含んでいるので、一筋縄ではいきません。
・企業秩序の維持のために会社側の懲戒権は広く認めるべきではないか
・当初該当社員を雇用したのは出向元なので、懲戒権は出向元のみが有するのではないか
・出向元が懲戒処分権を出向先に委任した場合は、出向先の懲戒権が認められるのではないか
等々。いちいち検証していくと複雑となるので避けて、以下、実務上の望ましい方法のみ申し上げます。
企業秩序維持の観点から、出向先にもある程度の懲戒権が認められると考えて良いでしょう。ただし、たとえば懲戒解雇のような労働契約そのものの効力を左右するような重大な懲戒権は、当初労働契約を結んだ出向元のみが有します。出向先が有する懲戒権は、日々の労働から生ずる具体的な労働問題についてのみに限定されます。
※就業規則に懲戒事由をきちんと定めておかないと懲戒処分も行えません。就業規則の整備を怠りなく!。
※弊事務所は、ブラック企業の味方は一切致しません!