「社内で一番忙しいのは社長」という会社があります。
いや、社長が優秀なこと、仕事がたくさんあること、はもちろんすばらしいのですが、ちょっと待ってください。
実は、マイナス点も多々あるのです。
①部下が育たない。
なんでも社長がやってしまい成果も上げてしまうと、部下は委縮するばかりで能力向上が見込めなくなります。せっかく潜在能力が高い社員がいても、これでは言葉は悪いですが「飼い殺し」です。もったいない!あまりにもったいない!
②社長が倒れたら終わり。
①との関連性もありますが、部下が育っていない状況で、ある日突然社長が倒れたらどうでしょうか。「自分は元気だ!」と思っていても、そこは人間ですし、そもそも日頃過密スケジュールで動いているのですから、いつなんどき身体に異変が起こるかわかりません。
最高の営業員である社長が倒れて仕事ができなくなったら、会社は一気に傾いてしまうことでしょう。
いや、社長の気持ちもわかるのです。
・だって、自分が一番優秀だもん(自分に酔っているタイプ)。
・人にやらせるとイライラしてしょうがない。自分でやった方が断然速い。
・人に教えるのが億劫 etc・・・・・・。
でも、そこはグッと忍耐です。我慢して部下に仕事を任せないと、あなたの会社の未来はありません。
弊事務所のお客さまで、お会いするたびに「ああ、ヒマだ、ヒマだ」とおっしゃる社長がいらっしゃいます。ま、実際にヒマそうですが(笑)。
この方、前の社長から会社を引き継いだときは7億円近くもあった借金を、数年で全額返済し黒字へ転換させたすご腕社長です。
彼のモットーは、「仕事は社員にやらせる。俺はヒマならヒマなほどいい」です。
彼は、とにかく部下を信頼します。チャレンジさせ、そして温かく見守ります。成功すれば心から褒め、ときに失敗すれば優しくアドバイスします(顧客へのお詫びには必ず同行します)。日頃のコミュニケーションも欠かしません。
そうやって忍耐強く(ただし、ごく稀に怒ると本当に恐いと、社員から聞きましたが)、時間をかけて、部下を育てているからこそ、部下の成長に伴い相対的に彼はどんどんヒマになっていく、という理屈なのです。
頭ではわかっていてもなかなかできないのが常ですが、彼は当たり前のようにやってしまい結果も出しました。まさに、見習うべき社長と言えるのではないでしょうか。