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このページでは、就業規則に関して「よくあること」をいろいろ取り揃えてご紹介します。ダメな理由もちゃんと書きますよ!
常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成して労働基準監督署に届け出なければなりません(労働基準法第89条)。
この「あるある」は、この条文の「常時10人以上の労働者」についての勘違いですね。
労働基準法がいう「労働者」とは、正社員だけではなくて、パート、契約社員、嘱託社員、日雇労働者など、とにかく働いて賃金をもらう人はすべてなのです。したがって、パートが多くても、常用のパートであれば「常時10人以上の労働者」に含まれることとなります。
貴社は、(おそらく)就業規則の作成・届出が必要ですよ!
確かに法律的にはその通りですが(労働基準法第89条)、以下の理由により、常時10人未満の会社でも絶対に就業規則の作成・届出を行った方が良いです。
1.就業規則というルールブックがある方が、従業員が安心して働ける(安心!)。
2.「就業規則がある」は、採用において有利に働く(同業他社に勝つ!)。
3.労使トラブルに発展したときに、会社側の主張の根拠となる(会社を守る!)
4.就業規則がないと、懲戒処分ができない(盲点!)。
特に4が重要ですね。就業規則を作成して懲戒について規定しないと、懲戒処分を行うことができません(始末書提出、出勤停止、懲戒解雇など)。悪いことをした従業員がいるのに懲戒処分も行えず、歯がゆく悔しい思いをすることになりますよ。
何十年か前の創業当時に就業規則を作成しました。それは良いのですが、その後一切改定を行っていない会社が結構あります。
何十年も経つうちには、法律がいろいろ変わっていますし、社内ルールだって変更された部分があるでしょう。
定期的にケアをしないと、いざというときに(たとえば労使トラブル勃発時など)まったく役に立たないしろものとなってしまいます。
顧問税理士はいるけれど顧問社労士がいない会社では、こうなることが多いでしょうね。
なんとなく税理士さんに相談したら、「じゃあ、私が作りましょう」と言ってくれたので、そのまま任せた、というパターンです。
でもこれって、とても危ういですよね。なぜなら、就業規則は税理士さんの専門分野ではないからです。税理士さんは税の専門家であって、就業規則作成に必要な労働法の専門家ではありません。
じゃあ、なぜ就業規則の作成を引き受ける税理士さんがいるかというと、おそらく顧問先を失うのが恐いからでしょう。社長から頼まれたときに「できない」と言うと、それだけで信頼を失くすと思い込んでいるのですね。
餅は餅屋といいます。就業規則の作成は、労働法のプロである社労士に任せましょう。
これもよく聞きます。社長が音頭を取って、役員一同で知恵を出し合って作成したのですね。
もちろんそれ自体は悪いことではありませんが、専門家が関与していないがゆえに、抜けや誤りがある可能性があります。
・抜けについて
「就業規則に必ず掲載しなければいけない事項」が法律で定められています(「就業規則にいろんなこと書いちゃいけないの?社訓とか社是とか社歌とか。」参照)。それらがすべてきちんと盛り込まれていないと、就業規則自体が「無効」とされてしまう危険性があります。
・誤りについて
単純な誤植程度なら良いですが、法の解釈を誤ってしまって、それがそのまま内容に反映されていたら大問題です。
大企業に長年勤めた方が、一念発起会社を辞めて起業しました。従業員の数が10人以上となったので就業規則を作成しなければなりません。そこで社長が考えたのが、「自分が勤めていた会社の就業規則をそのまま使おう」
大企業と中小企業を比較すると、大企業の方が労働条件が良いのが一般的です。それをそのまま自社にあてはめるのはどうでしょうか。中小企業なのに大企業並みの待遇!もちろん従業員側は嬉しいですが、会社は大変です。
就業規則は一度作成してしまうと、従業員に不利となる改定は原則としてできません(次の「就業規則の内容を、従業員にとって不利に変更するのは?」参照)。なにごとも最初が肝心なのです!
たとえば、退職金規程。会社は、法律上そもそも退職金を支払う義務はありませんが、退職金規程を作ると支払わなければならなくなります。
わかりやすくするために切りのいい大雑把な数字にしましょう。A社では退職金を「1000万円支払う」と退職金規程に書いたとします。
ところがその後業績が悪化、とても1000万円は支払えないということで、就業規則を改定して半額の500万円としました。
これを「就業規則の不利益変更」といいますが、さて、認められるでしょうか。
この問題については、最高裁判例の秋北バス事件で明確な結論が示されています。
「就業規則の不利益変更は、合理的な理由がなければ認められない」
「合理的理由」の基準は特になく個々の事例ごとの判断となりますが、さまざまな先例を見ると、「切羽詰まっている、会社が倒産寸前である」といったようなかなり高いハードルが課されると考えてよいです。
「なんとなく就業規則を社員に見せたくない」。その気持ちはわからんでもないです。
結果、自分のデスクの引き出しにしまって鍵をかけ、鍵はいつも自分がが携帯している、なんて社長が出現します。
これはもちろんダメです。なぜなら、就業規則は従業員に「周知」しなければならないからです。最高裁判例(フジ興産事件)によると、「周知義務を果たしていない就業規則は無効」となってしまいます。
周知方法はいろいろあります。
就業規則には必ず書なかければならないことが、法律で決まっています(労働基準法第89条)。
〇絶対的必要記載事項(必ず記載)
・始業終業時刻、休憩、休日、休暇、就業時転換に関する事項(交替制の場合)
・賃金の決定、計算、支払の方法、賃金の締切り、支払時期、昇給に関する事項
・退職に関する事項(解雇事由含む)
〇相対的必要記載事項(定めた場合は必ず記載)
・退職手当に関する事項
・臨時の賃金、最低賃金額に関する事項
・食費、作業用品などの負担に関する事項
・安全衛生に関する事項
・職業訓練に関する事項
・災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
・表彰、制裁に関する事項
・その他全労働者に適用される事項
これらは当然に記すとして、問題は、それ以外のことは一切書いてはいけないのかどうかです。いろいろ書きたいことありますね、経営理念、社訓、社是、社歌等々。
結論からいうと 書いてもかまいません。なぜなら、書いてはいけないというルールはないからです。というより、ぜひ積極的に書くようにしましょう。自社に関する事項が載っていれば従業員も「これはうちの会社の就業規則」ということで、親しみを持ってくれるかもしれません。
これは笑い話ではなく、私(代表の真島)は、実際にそういう就業規則を見たことがあります。社長に「どうしてですか?」と聞いたところ、このような返答が返ってきて愕然としたのです・・・。
まあ、お気持ちはよくわかりますが、でも、当然ダメです。理由は、残業代は就業規則の必要的記載事項(必ず載せなければいけない事項)である「賃金に関する事項」に該当するからです。載せてなければ、就業規則自体が無効とされてしまうかもです。
それに、「載せなければ残業代を支払わなくても良い」というものでもありません。なぜなら、「残業(厳密には「時間外労働」)をさせて場合は割増賃金を支払わなければならない」と労働基準法に書いてあるからです。労働基準法は強硬法規なので、就業規則に書かなかろうがなにしようが曲げることはできず、残業分の割増賃金は必ず支払わなければなりません。
⇒本人が「いらない」といっても支払わなければなりません。強硬法規とはそれほど絶対的なものなのです。
固定(定額)残業代を導入している企業が多いですね。
※固定残業代
1箇月辺り30時間とか40時間とか決めて、時間外労働をさせてもその時間に至るまでは割増賃金を支払わない制度(その時間を超えた分は別途支払う必要あり)。
ちまたではなんとなく固定残業代=ブラック企業というイメージがあるし、給与計算も複雑になるので、正直あまりお勧めはしないのですけどね。
固定残業代を導入するには、就業規則や雇用契約書への記載が必ず必要です。記載方法は次の通り。
・固定残業代の趣旨が割増賃金の支払いであることを明確にする。
・固定残業代が時間外労働分のみなのか(休日や深夜労働は別途支払う)、休日や深夜労働分も含むのかを明確にする。
・決めた時間を超えた場合は超過分の割増賃金を支払うことを記す。
加えて、毎月の給与明細に、固定残業代の金額と時間数を記すことも必要です。
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