【2013/2/25】
労働基準法 第1章 総則についてお話ししています。今日は、第3条です。
法3条 均等待遇 使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。 |
趣旨は、「差別を禁ずる」ということでわかりやすいですが、いろいろと注意点があります。
○ 信条とは
宗教的、政治的信念を指します。
○ 社会的身分とは
持って生まれた身分の差を指します。たとえて言えば、士農工商、カースト制度。労働基準法は昭和22年にできた古い法律であるため、このような概念が形だけ残っています。正社員やアルバイトといったような就業形態の違いを指すのではありません(アルバイトやパートだからといって差別してはならない、ということです)。
○ 国籍、信条、社会的身分は限定列挙か例示列挙か
法律には限定列挙(そこに挙げたものだけである)と例示列挙(他にもある)がありますが、ここは限定列挙です。すなわち、国籍、信条、社会的身分を理由とした労働条件に関する差別は認められないけれど、他の理由での差別については、本条は関知しません。
○ その他の労働条件とは
その他の労働条件とは、職場における一切の労働条件を指します。「解雇」も含まれますので、本条は解雇禁止条文でもあります。本条を少し読み替えてみます。
「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、解雇してはならない」
○ その他の労働条件に「採用」は含まれない。
その他の労働条件とは、職場における一切に労働条件ですが、採用は含まれません。採用の段階では未だ労働契約が成立していないためです。すなわち、使用者は、国籍、信条、社会的身分を理由として採用を拒否したとしても、必ずしも違法とはなりません(最高裁 三菱樹脂事件)。