【2012/12/10】
前回までは、個別的労働関係法の趣旨についてお話してきました。今回は、集団的労働関係法についてご説明します。
個別的労働関係法の整備によって、労働者は「人として少なくとも最低限の生活」を保障されます。
それはとても喜ばしいことなのですが、でも、よく考えると、あくまでも「最低限」に過ぎません。「最低限」では、人間は不満ですよね。
たとえば、労働時間。個別的労働関係法の核となる労働基準法の規定により、労働者を1日当たり8時間を超えて働かせることはできません。これにより長時間労働から解放されますが、でも、労働者は、よりよい労働条件、すなわち、1日7時間、6時間・・・、を望みます。
そこにはもう法律の保護はありませんから、利害の対立する使用者と戦っていかなければなりませんが、使用者は組織、労働者は一介の個人ですから、まともにぶつかったのでは、跳ね返されすりつぶされてしまうのが落ちです。
労働者が使用者と対等な立場で戦うためには、労働者も組織を作る必要があります。
その組織が労働組合です。
というわけで、集団的労働関係法(労働組合法、労働関係調整法)では、「労働者が労働組合を結成する権利」「正当な労働組合活動を行う権利」を保障します。