【2012/11/16】
さて、労働契約は対等と言えるでしょうか。
その前に、ここで3つほど法律用語を覚えていたただきます。法律用語というと抵抗を覚える方もいらっしゃるかも知れませんが、このブログを読み進めていただくために必要なことなのです。どうそご容赦ください。
なに、そんなに難しいものではありませんのでご安心を。
3つの用語とは、使用者、労働者、賃金です。
○ 使用者
「使う側」という意味で、会社そのもの(個人企業なら事業主さん)、役員、現場の管理職などを指します。
○ 労働者
「使われる人」という意味です。正社員、パート・アルバイト、期間雇用者、日雇労働者などの就業形態を問いません。
○ 賃金
「労働の対償として使用者から受けるもの」です。要するにお給料のことですが、法律上「給料」という用語はありません。
まとめて言えば、会社そのものや役員、それに現場の管理職が使用者、使用者によって使われている人は就業形態を問わず労働者、使用者の指揮命令を受けて労働した労働者に対して使用者が支払うものが賃金、ということになります。
話を戻します。労働契約は対等と言えるでしょうか。
例を挙げて考えましょう。
BさんがCさんに告げます。「ところで、お給料のことなんですけど、子どもの学費がかかるし住宅ローンもあるので、そうですね、月20万円ぐらいは欲しいのですが」
Cさん(あくまでも例ですよ)「え?20万?そりゃまた随分大金だね。あなたは、それに見合うだけの何か特別な技能を持ってるの?うちの会社の工場で使ってる特殊な機械の操作方法に習熟してるとか、前の会社で営業成績がトップだったとか」
Bさん「あ、いえ、私にはそんな特殊技能はありません」
Cさん「あ、そう、う〜ん、それじゃあ、申し訳ないけど、うちの会社はあなたに月20万円は払えないねぇ。そうだな、15万円でどお?あ、いや、嫌ならいいんだよ、だって、15万円で来てくれるDさんとかEさんだっているんだからね」
Bさんの選択肢は2つです。
一つ:「てやんでぇ!」と叫んで机をひっくり返し、「こんな会社こっちから願い下げだ!」と啖呵を切る。
⇒とっても格好いいですが、賢い選択とは言えませんね。なぜなら、今の時代、何の技能もないBさんを雇ってくれる会社は他にないかもしれないからです。
となると、Bさんの選択肢はもうあと一つしか残っていません。はい、それは、月15万円で我慢して、A社に入社することです。
これでお分かりですね。そう、対等であるはずの労働契約は実は対等ではなかったのです!使用者の方が、社会的にも経済的にも強いので、「使用者の意のままの労働契約が結ばれてしまいがち」なのです。
それでは、労働者がかわいそうです。
(次回に続く)