【2012/10/29】

就業規則に記す労働条件の基準は、法律に反することや労働協約を下回ることはできません。逆に言えば、法律や労働協約に反しない範囲であれば、労働条件の水準は会社が勝手に決めて差し支えないことになります。

話をシンプルにするために、労働協約のない会社で考えてみましょう。

労働基準法が定めた労働時間の上限(法定労働時間)は、1日当たり8時間です(週当たりは省く)。

一方、その会社で決めた労働時間を所定労働時間といい、法定労働時間を上回ってはなりません。

<所定労働時間>

A社:9時間⇒違法

B社:8時間⇒合法

C社:7時間⇒合法

ここまでは復習ですから、問題ないですね。

 

今日のテーマは「不利益変更」です。

この例で、C社が、ある日突然就業規則の変更手続きを行って、所定労働時間を8時間に延長しました。

労働者にしてみれば、1日7時間の労働で良かったところが突然8時間とされたのですから、紛れもない「不利益変更」ですね。

さて、これは可能なのでしょうか。

 

順を追って考えます。

1.手続き的には?

就業規則の変更手続きは、作成時と同様、労働者の代表者の意見書を添付して所轄労働基準監督署長に届け出るだけです。意見書の内容が全面反対でも構いませんから、1日7時間⇒8時間への変更は、手続き的には問題なくできることになります。

2.法律違反ではないの?

労働基準法1条2項に、次の条項があります。

この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当時者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはなないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない

1日7時間⇒8時間はダメで、むしろ、6時間、5時間・・・とするように努力しなさいという意味ですね。

このように不利益変更は、明確な労働基準法違反です。

ただし、この条文には罰則規定がないのです。罰則規定がない以上、法律的には問題があっても、会社はその気になれば、簡単に不利益変更が行えることとなってしまいます。

3.判例による歯止めは?

法律がカバーし切れない範囲を受け持つのが裁判例です。最高裁の判例等の集積により、不利益変更に関する判断基準が確立しました。

「社会通念上合理的相当な理由なき不利益変更は無効とする」

わかりやすく言えば、「合理的な理由がなければ不利益変更は認めない」ということです。

この判断基準は、平成20年に施行された労働契約法中にも、盛り込まれました(労働契約法9、10条)。

ただし、労働契約法にも罰則はありませんので、会社が行った不利益変更に不服がある労働者は、最悪の場合、裁判で争う道を選択しなければならないこととなります。

 

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