【2012/09/28】
就業規則は職場の法律です。でも一方で、労働基準法などの本物の法律(以下、単に「法律」といいます。)がありますね。就業規則と法律の関係はどうなっているのでしょうか。
就業規則に記述する労働条件の基準は、会社が任意に決めてさしつかえありません。
でも、当たり前のことですが、法律違反はできません。その意味において、法律と就業規則とでは法律の方が優先する、ということですね。
逆に、法律の基準より良い、すなわち労働者にとって有利な水準にすることは一向に構いません。「労働者保護」が法の趣旨なのですから、当然のことですね。
これを数式で書くと、次のようになります。
法律≧就業規則
これを「法的強弱」というので、覚えておいてください。
例を挙げて説明しましょう。労働時間について
長時間労働を抑制する趣旨で、労働基準法は、「労働時間の上限」を定めています。
労働基準法という法律が定めているので、これを「法定労働時間」といい、原則として「1日当たり8時間、1週当たり40時間」です。
会社が就業規則で自社の労働時間(所定労働時間といいます)を定めるときは、法定労働時間よりも長い時間を設定することは認められません。「所定労働時間は、1日当たり9時間とする」は、明確に法律違反なのでダメなのです(実際には、残業などで8時間以上働いている人がいますが、それは例外です。今日はあくまでも原則論だけでお話しをしています。例外の話は、また日を改めて)。
逆に、法定労働時間より短い時間を設定することは構いません。7時間とか6時間とか。
○「所定労働時間は、1日当たり7時間とする」
○「所定労働時間は、1日当たり6時間とする」
法的強弱は、法律と就業規則だけではなくて、本来は労働組合と結ぶ労働協約や個々の労働者と結ぶ労働契約も加味して考えなければなりません。そのお話はまた次回。