理解するとは?(2019年11月25日)
今日も受験ネタです。
私は25年間社労士試験の受験講師を続けましたが、ずっと「社労士試験の学習は丸暗記ではなくて理解することが大切である」と言い続けていました。
<理由>
①試験のレベルが上がって、丸暗記では対応できないから(丸暗記は応用力がありません)。
②理解⇒反復の繰り返しで、実は自然に覚えてしまうから(このようにして覚えた知識には、度忘れがありません)⇒これを「理解式学習法」といいます。
理解式学習法については、また今度詳しく書きます。
今日は「理解」の意味について話します。
10年ほど前の話。あるとき、ある受験生の方から、次のような質問を受けました(もう時効だから良いでしょう)。
「先生、理解するってどういうことですか?」
あまりに予想外の質問で、そのときはきちんと答えられなかったことを覚えています。
今日ここで解説します。少々笑い話のようになってしまうかもしれませんが、よろしくおつきあいください。
あるセンテンスで考えます。たとえば、「今日は良い天気ですね」。
このセンテンスを、「丸暗記する」と「理解する」とは、それぞれどういうことでしょうか。
〇丸暗記する
このセンテンスを「キョウハヨイテンキデスネ」と捉えるということです。おのおのの単語やセンテンス全体の意味を把握せず、単なる「文字の羅列」として頭の中にむりやり刻み込んでしまう、ということです。
〇理解する
このセンテンスを、意味のある「言語」として捉えます。頭の中で、まず単語に分解します、「今日は」「良い」「天気ですね」。次にそのおのおのの意味を理解します。
・今日=現在己が身を置いている時間軸の24時間ごとの区切りのこと。昨日の翌日であり、明日の前日である。
・良い=めでたい、すてきだ等の意。「悪い」の対義語
・天気=気象状況のこと
そして、最終処理として、おのおのの単語を最初の並びに戻して、センテンス全体としての意味を把握します。
「昨日でも明日でもない今日という日の気象状況は、優れているんだな」
いかがでしょうか、「丸暗記」と「理解」の違いをご理解いただけましたでしょうか。
いや、あなたのおっしゃりたいことはわかります。「理解はわかるけど、丸暗記がこっけい。意味を全然考えずにただ暗記しようなんてばかげてる。そんな人いるわけないでしょ」
そう、私もあなたのおっしゃるとおりだと思います。ちょっとしたセンテンス程度なら確かにそうでしょう。
しかしながら、これがいざ受験勉強となると、人は知らず知らずのうちに、「丸暗記」という愚を本当に犯してしまうのです。「この法律の規定、よくわかんないや。ま、考えるのはやめて、こういうものと思って覚えてしまおう」
丸暗記した知識は、試験で正面から問われれば正解できるでしょうが、応用力がありませんから、ちょっとひねられたらもうお手上げです。
それに対して理解によって得た知識は、潜在意識に深く浸透していますから、角度を変えた問題にも十分に対応できます(「今日は良い天気ですね」の意味を理解したあなたは、「あ、今日は傘を持って行く必要がないんだな」と存分に応用力を発揮することでしょう)。
試験のレベルが上がれば上がるほど、理解が重要となる理屈です。