ABCマートでも過労死ライン超
【2015/7/10】
ABCマートでも、月100時間超の残業という長時間労働が発覚しましたね。
「過労死ライン」という不気味な言葉があります。
これは、『脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について』(平成13年12月12日付基発第1063号厚生労働省労働基準局長通達)によるもので、月80時間とされています(1カ月の労働日が20日とすると1日4時間の残業)
月100時間超はこの基準を遥かに超えているわけで、もはや異常事態と言わざるを得ません。
使用者側の言い分もわからないではありません(ABCマートではなく一般論です)。
(1)だって仕事がいっぱいあるんだもん。
(2)昔の日本人はみんな黙って働いてたんだよ。
(3)雇ってやってるんだから文句言うな。
(4)義務も果たさないで権利ばっか主張するやつが増えて困る。
一つひとつ反論してみましょう。
(1)だって仕事がいっぱいあるんだもん。
それはすばらしいことです。でも、だからと言って、過労死につながるような長時間労働をやらせて良いという理屈にはなりません。自分さえ良ければ社員がどうなってもいいのですか。
(2)昔の日本人はみんな黙って働いてたんだよ。
昔と今とでは時代が違います。背景となる経済情勢、健康に対する意識、疾病構造、どれを取っても、昔の常識は通用しないのです。時代が変われば心も刷新しましょう。
(3)雇ってやってるんだから文句言うな。
これはもはや暴言と言っても良いでしょう。「雇用契約は労使対等な契約である」などとたてまえ論を持ち出すつもりはありません。きれい事を論じても意味がありませんから。
現実的に対等とは言えないとしても、だからと言って会社が横暴の限りを尽くして良いわけはありません。使用者と労働者である前に、お互い人と人であるという原点に立ち帰って考えるべきではないでしょうか。
(4)義務も果たさないで権利ばっか主張するやつが増えて困る。
それは私も納得です。同意すらします。でもそれは一部の従業員であって全員の話ではないはずだし、上と同じですが、だからと言って長時間労働を許容する要素にはなりえません。
「会社は搾取するもの、労働者は搾取されるもの」という構図は、遠く明治時代、大正時代の話であって、現代では通用しないことを心得るべきです。
「会社と社員は人として対等、したがって、会社も社員も共に幸せになれる道を探る」姿勢こそが現代にそぐうものだし、ある意味「かっこいい」のではないでしょうか。
発想を180度転換するだけで、ギスギスした不健康な職場が明るい健康的な職場に生まれ変わります。あなたの大事な会社です。時代の波に乗り遅れて大変なことになる前に、一歩前へ進みましょうよ。