年金不正受給後を絶たず(2014年3月3日メルマガと同内容)
年金受給者が死亡したのに遺族が年金をもらい続ける不正が後を絶たず、厚生労働省が苦慮しているようです。
年金受給者の生死については、住基ネットか又は遺族が提出する「年金受給権者死亡届」によって行います。
ところが、現実には、
・戸籍や住民票などの公的記録上は存在しているが、生死の確認が取れない
・遺族が死亡届を提出しない
等の理由により、確認できていないケースが多々あるのです。
事の経緯は次の通りです。
・平成10年、足立区で111歳の男性が白骨化した状態で発見されたことを契機としてこの問題がクローズアップされ、社会問題となった。
・厚労省は、約34万人を調べて不正をあぶり出した。具体的には、75歳以上が加入する後期高齢者医療制度の情報を使った。過去1年で一度も受診していない受給者を調査、その結果、約1700人が年金差し止めにつながった。
・昨年夏、その調査から漏れているケースが発覚。8年ほど前に死亡した79歳男性。調査時点ですでに死亡し後期高齢者医療制度に加入していなかったため。住民票上「死亡」扱いとなっていたが、情報が年金事務所に伝わらず、年金の支給が続いた。
・この穴を防ぐため、今後新たな方法で、まずは約8000人を対象に別の方法で生存を確認する。
行政の対応の善し悪しはあえて語りません。それより注目すべきは、年金という制度の問題の根深さです。この問題のみならず、他にも第三号被保険者問題、消えた年金問題、受給開始年齢問題など、数多くの問題を抱えています。
かと言って、現行の制度をリセットして新しい制度を設けるという案は、理想としてはすばらしいのですが、現実問題ほとんど不可能に近いでしょう。
少子高齢化は待ったなしですし。頭の痛い問題ですね。ベストの方法論などないと思いますが、まずは国民が関心を持ち、皆で知恵を出し合うことが大切なのではないでしょうか。